研究実績の概要 |
本研究の目的は2011年度から公立小学校で開始された「外国語活動」に関して、児童の心的効果に着目し、(あ)成人のWTC(Willingness to Communicate)モデルの構成要素が児童の心的概念として存在するのかを確認すること、(い)(あ)の構成要素を用いた日本人児童のWTCモデルを構築すること、の2点である。 平成25年度は、文献研究とデータ収集期間であった。WTCモデルの構成素であるWTC, コミュニケーションの自信、学習意欲の尺度項目を先行研究から吟味、児童用に修正した。その尺度項目を実際に児童に回答してもらった。 平成26年度は、尺度項目のスリム化のためのデータ収集期間であり、初年度に選択した77項目を6つの調査概念の信頼性を維持しつつ、44項目に厳選し、1枚のアンケート用紙に収めることができた。この質問紙を用い、公立小学校での外国語活動に1年間参加する前後での児童の心的変化を探ることとした。調査対象は、2014年4月から2015年3月までの約1年間、外国語活動の授業を受けた公立小学校7校の児童1,036名のうち欠損値を持つ58名を除外した978名(6年生481名、5年生497名)とした。このデータを基に高学年児童のWTCモデルを提案することができた。 平成27年度は、前年度に提案したWTCモデルの安定性を高めるため、教室の雰囲気に関する質問項目を追加、46項目で質問紙調査を行った。調査対象は2015年4月から2016年3月までの約1年間、外国語活動の授業を受けた公立小学校7校の児童1,415名(6年生699名、5年生716名)とした。現在、2回目のアンケート実施が終わり、データの入力、分析中である。児童の回答に基づき、ラッシュ・モデルを用いた分析、因子分析、共分散構造分析、および分散分析の統計処理を用いる。
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