研究課題/領域番号 |
24520700
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
日野 信行 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (80165125)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 国際英語 / 教授法 |
研究概要 |
「教室内参加型」の「国際英語」教授法として本研究代表者(日野)が実践しているIPTEILという教授法をELF論の視点から分析した論文を、連携研究者との共同発表(Hino and Oda)として、トルコのイスタンブールで開かれた第5回ELF国際大会で報告した。本論文は、国際出版社 De Gruyter Moutonから出版予定の Current Perspectives on Pedagogy for ELFという学術書に収録されることになった。 米国での国際英語論の創始者 Larry E. Smith氏がハワイで展開する「海外滞在型」の「国際英語」教育プログラムであるGlobal Challenge Programの現地で、連携研究者(小田)とともに教育現場の観察、及び受講生へのアンケートとインタビューを行った。このフィールドワークの成果は、中国の香港と広州で開かれた第18回IAWE年次大会で共同発表した。その一部は、2013年5月発行予定の日野信行編『英語教育の新しい潮流』(大阪大学)にも論文として掲載される(印刷中)。また、やはり「海外滞在型」の「国際英語」教育プログラムとして、小田は、フィリピンのセブの英語学校での観察とインタビューを実施した。その成果は上記の『英語教育の新しい潮流』に論文として掲載される(印刷中)。 上記の中国における第18回IAWE大会では、日野はさらに、シンポジウムにおいて、「国際英語」教授法のための Japanese Englishに関する発表も行った。この発表は国際学術誌 World Englishesから論文としての掲載への招待を受けている。 また、「国際英語」教育をコミュニケーション能力の観点から分析した日野の論文が、ひつじ書房発行の学術書に収録された。 上記の他に、学会での日野による成果発表がさらに3件(招待講演2件を含む)ある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の成果の中間報告として、国際学会での発表3件を含む6件の学会発表を行い、いずれも大きな反響を得た。特に、イスタンブール(トルコ)での第5回ELF国際大会で発表した、本研究代表者の実践する「国際英語」授業法に関する論文が、世界的な影響力を有する国際学術出版社 De Gruyter Moutonの単行本に収録されることになったことは、大きな成果である。また、中国における第18回IAWE大会での、「国際英語」教育におけるJapanese Englishに関する本研究代表者の発表では、Mario Saraceni, Zoya Proshina, Suzanne Hilgendorfというこの分野を代表する世界的学者3名とともにシンポジウムのパネルをつとめた。また2013年9月のローマ(イタリア)での第6回ELF国際大会での発表もすでに採択通知を受領している。さらに、本研究代表者は11月のソウル(韓国)での2013ELLAK国際大会にも招聘されており、本研究のテーマである「国際英語」教育について招待講演を行うことになっている。 米国ハワイ及びフィリピンにおける国際英語プログラムに関するフィールドワークについては、現地の協力を得て、観察・アンケート・インタビュー等によるデータの収集に成功して、中国における第18回IAWE年次大会での発表に至り、論文を収録した大阪大学の出版物もすでに印刷中の段階である。 本プロジェクトにおけるフィールドワーク、授業実践研究、学会でのフィードバック、文献研究等を通じて、本研究の目的である参加型「国際英語」教授法の態様は、特に「教室内参加型」と「海外滞在型」の2類型に関して、教材・メソッド・テクニック等の諸側面について次第に明らかになってきている。 以上のような点から、本研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究のレビューの継続としては、引き続き、「国際英語」教育に関する文献、及び実践共同体への正統的周辺参加による学びの理論に基づく言語教育に関する文献のレビューを継続する。 参加型「国際英語」教育の実践現場におけるフィールドワークの継続としては、本研究代表者の教授法IPTEILについて、Reflective Teachingの手法や「授業学」研究を応用し、「教室内」の参加型「国際英語」教授法に関する分析を継続する。また、Larry E. Smith氏のGlobal Challenge Program について、参加者へのインタビュー等を継続し、「海外滞在式」の参加型「国際英語」教授法に関する分析を深める。また、中京大学と海外教育機関とのテレビ会議における、参与観察、ビデオの分析、参加者へのインタビュー等を実施し、「遠隔対面式」の参加型「国際英語」教授法について分析する。さらに、大阪大学の留学生との交流の場としての English Cafeでの参与的観察と参加者へのインタビューを実施し、「直接対面式」の参加型「国際英語」教授法について分析する。 成果の発表としては、2013ELLAK国際大会(招待講演)、第6回ELF国際大会(発表採択通知受領済)、第19回IAWE年次大会(発表申請中)等の国際学会や、第32回日本「アジア英語」学会全国大会等などの国内学会で報告を行うとともに、大阪大学のワーキングペーパーに発表し、Journal of English as a Lingua Franca等の「国際英語」学術誌に投稿する。また本研究代表者は、国際学術誌 World Englishes から論文提出の招聘を受けており、またCambridge University Pressによる出版が計画されている学術書Communicating with Asiaの章執筆の招聘を受けている。
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次年度の研究費の使用計画 |
学会での成果発表のための出張旅費として、University of Roma Tre(ローマ、イタリア)での第6回ELF国際大会(発表採択通知受領済)での本研究代表者と連携研究者の共同発表、Arizona State University(テンピ、アメリカ合衆国)での第19回IAWE年次大会(本研究代表者及び連携研究者それぞれの単独発表、申請中)を予定している。Sookmyung Women's University(ソウル、韓国)での2013ELLAK国際大会については、本研究代表者の講演は主催者負担の招待であるが、連携研究者の発表(現在申請準備中)のための出張旅費は必要となる。 フィールドワークのための旅費としては、中京大学(名古屋市)等への出張旅費が必要である。 文献の入手については、ELF論の学術誌であるJournal of English as a Lingua Francaをはじめ、「国際英語」教育研究に関する最新の文献の購入を計画している。 また、デジタルカメラ等のフィールドワークに必要な若干の機器や、データ分析に必要な若干のコンピュータソフトウェア等の購入を計画している。
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