研究概要 |
平成24年度は研究実施研究計画に基づき、英語教育・応用言語学分野の学術論文誌、2誌で著者を指す第1人称単数・複数代名詞(I, my, me, we, our, us)の使用について調査を行った。 調査した学術誌は、英語教育・応用言語学分野で国際的、または国内的に代表的な2誌、TESOL Quarterly、JACET Journalである。2009~2011年に出版された論文より無作為に各年より7編ずつ選び、計42編を電子テキスト化し、コーパスを作成した。コンコーダンスソフトを用い、上記の代名詞を抽出、それらの代名詞が何を指しているかを一つずつ調べ、「書き手」に言及している代名詞の使用頻度、および、出現箇所(論文のどのセクション―introduction, method, results, discussion, conclusion―で使用されているか)を調べた。さらに、論文の内容(定性的または、定量的か)、著者が日本人か英語母語話者かにも注目し、特徴を調べた。調査より、著者を指す第1人称単数・複数代名詞の使いかたは論文の内容、国籍により非常に異なることがわかった。 調査結果は 38th JALT International Conference on Language Teaching and Learning(2012年10月13日、浜松)にて発表した。調査のテーマは、非常に興味深く、意義深く、ライティングを指導する英語教員にとって有用な研究であるとの意見を得た。 グローバル人材育成の必要性が唱えられる現在、その一旦を担う英語教員にとっては、このような知見は非常に重要である。「書き手」を示す代名詞の使用は、時代や各学術分野で慣習的なものであり、それについては、あまり意識されないことが多い。したがって、英語教育指導の見地からこの研究は有用である。
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