研究課題/領域番号 |
24520706
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
山下 巌 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (70442233)
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研究分担者 |
佐藤 健 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (40402242)
横島 啓子 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (50369469)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ムードル / Community of Practice / Community of Interest / ESP/EOP |
研究概要 |
研究初年度となる平成24年度は、主にウェブコミュニティ形成と、それが単なる道具目的的情報交換を主目的とした、「興味関心のコミュニティ」(Commuity of Interest: CoI)の形成を目指した。本研究代表者の山下と分担者の佐藤は、山下の本務機関である順天堂大学に設置されているムードルサイトードル上に、本研究用サイトを新たに設け34人の学生全員の登録を済ませ、学生がムードルのインターフェイスに慣れるよう、コア部分(授業)で扱った既習事項の練習問題や課題を配信し、生徒からのアクセスが正確に行われているかを確認した。その後、学生(34名)を5グループに分割し、各グループにをリーダーを配置し、電子掲示板モジュールを活用した探求型学習を開始したところ、学生間での双方向の情報交換が多く行われ、CoIが形成された。 またここ数年間、スマートフォンの普及が目覚ましく、本研究協力学生の多く(30名)も、ウェブアクセスをPCからではなく、スマートフォンから行っていることが判明した。そのため、山下と佐藤は、9月にスウェーデンのイエテボリ(Gothenburg)で開催されたEuroCALL2012に出席し、携帯端末とSNS(Social Networking System)を活用した英語学習形態に関する研究動向を探った。並行して、山下は英国バーミンガム大学の英語研究センター(Centre for English Language Studies)を訪問し、Dorota Pacek教授と元教授のRichard Cauldwell氏からESPとEOPの関する知見を得、来年度以降の研究推進の参考とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の当初目的であった、「興味関心のコミュニティ」の形成は達成した。しかし、研究計画書提出時にはスマートフォンの急速な普及が予測できず、しかも、このような携帯端末を英語学習に応用することを想定していなかった。ところが実際に研究を開始してみると、携帯端末からのアクセスが予想外に頻繁に行われ、PCからのアクセスは補足的になってしまった。そこで、モバイルラーニングの研究調査を急遽追加し、その特徴を捉え、その実態の即応した新たな課題開発やその配信についても思索を巡らしてゆくこととする。また、コミュニティ活性化のために、Ustreamなどの動画共有サービスを活用した研究も補足的にではあるが推進してゆくことも必要となろう。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の基礎研究を受け、ウェブコミュニティ上に蓄積されたインタラクションの構造化内容分析(structuring content analysis)を進め、参加学生からできるだけ多くの意見を引き出すためのテーマ設定やリーダーの役割を模索する。同時に、スマートフォンからの書き込みに注目し、その特質を追求することを急務とする。並行して集団の再編成も試行し、話者交替がスムーズに行われ発言が特定の学生に偏らないように工夫を施す。併せてEOPに関する語彙使用の視点からもインタラクションを分析し、当該ウェブ・コミュニティが、道具連関的情報交換を主目的とするCoIから、暗黙知のやり取りの場としてのCoPへと成熟してゆくための心理的要因を徹底抽出してゆく。またアクションリサーチ等も並行して実施し、①授業(提示)でのGDMと発見学習(heuristic learning)→②プレ部分のウェブ型フォーラムへ公開し答えを得る(理解)→③プレ部分の確認問題に取り組む(練習)→④学習事項を使っての知識活用型の共同学習となるタスク活動やプレゼンテーション主体の授業展開(産出)という本研究の核心となる学習プロセスが円滑に進行しているかどうか確認し、もし成立していないとするとその阻害因子は何かを解明し改善に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は、先年度から20万円を繰り越しているが、山下がポルトガルのエヴォラで開催されるEuroCALLにて携帯端末を授業に活用した事例に関する研究発表を行い、さらにフィンランドの小学校や看護師養成機関(Laurea Polytechnic)を訪問し、ウェブコミュニティを活用した授業ソフト開発に土江のレビューを得るための措置である。さらに加えて、外国語教育メディア学会(8月)、JALT(11月)等の学会で広く中間報告の成果を世に問うつもりである。そのため、出張旅費にやや配分が多くなることが予測されるものの、妥当な予算措置といえる。
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