平成26年度は、平成24年~26年度にかけて実施した質的研究(日本で活動する外資系企業に勤務経験のある日本人へのインタビュー調査)、言語、国際コミュニケーション、国際経営に関して、学会参加や先行研究の調査により、多国籍企業における知識伝達の重要性が明らかになった。特に日本では、英語能力の高い人材が不足しているため、日本で活動する外資系企業では、採用や昇進において、専門能力よりも英語能力が重視される傾向があること、このことが、企業の活動に必ずしも良い影響を与えていないことが判明した。さらに日本人と非日本人では、コミュニケーションの手段が異なることも明らかになった。たとえば、企業内のコミュニケーションで、日本人と異なり欧米人は、メールによるコミュニケーションよりも、対面式や電話によるコミュニケーションを好む傾向があった。これらの研究成果に基づき、日本で活動する多国籍企業の社員を対象に、国際語としての英語能力、異文化理解、職業的専門能力、これらが知識伝達へ与える影響や、多国籍企業内におけるコミュニケーションの手段と知識伝達の関係について調査を実施した。まず試験的研究として外資系企業と日本企業に勤務経験のある日本人を対象に調査を実施し、調査に必要な質問事項を絞り込み、最終的な質問票を作成し、日本で活動する外資系企業の管理職を対象として本調査を実施した。その結果を分析し、その成果を平成27年6月に米国ニューオーリンズで開催されるThe Association of Japanese Businessで発表する予定である。
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