研究期間全体を通して、授業外での学習者の自己調整学習を促進するために、授業中に学習方略指導を実施した際、学習者のどのような情意要因が影響するのかを明らかにしようとした。そのために、まず、英語学習者(大学生)に対してメタ認知を中心とした方略指導を実施し、その効果に及ぼす学習者の情意要因(動機や不安、自己効力感)の影響を、質問紙などの量的な側面および学習記録などによる質的な側面の両方の分析により探った。その結果、学習不安や動機、中でも内発的動機の強さがメタ認知方略の指導効果に大きな影響を与える可能性のあることが明らかとなった。メタ認知方略指導の効果は、リスニングやライティングなどの単発的な1タスクの遂行においては先行研究でも報告されているが、より継続的な自己調整学習における効果の報告は、まだ十分になされていない。特に、外国語として英語を学習する日本のようなEFL環境では、自己調整学習の継続の難しさが昨今着目されており、方略指導の効果に影響を及ぼす要因を探求した本研究の意義は大きいと言える。 この成果に加えて、研究期間全体を通して、学習方略の理論的基盤や動機モデルの確立に寄与するような研究成果を、学会で発表したり論文としてまとめたりし、分析データの考察をより科学的に進められるようにした。 最終年度には、内発的動機を高め、授業外での自己調整学習を継続する足場掛けの一つとして、授業内での協働学習の可能性を探り、予備的調査を実施した。また、これまでの研究成果を国際大会で発表するとともに、協働学習の自己調整学習への足場掛けの可能性についてなどを論文にまとめた。 なお、研究期間終了後には、上述の予備的調査をもとに本調査を展開する予定である。
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