新学習指導要領では、高等学校での英語科目の変更が行われ、「授業は英語で行うことを基本とする」ことが唱われているが、英語で教えることへの移行は簡単ではない。本研究では、既に英語で教える英語教育を実施しているアジア諸国の取り組み、また日本の高等学校の教育現場に立つ英語教員が抱えている課題および有効な取り組みの事例を調査し、その結果を現職の英語教員と共有することを目的として行われた。2014年度は最終年度として、これまでに行ってきた現場往還型の教員セミナー、および前の2年間に行った調査データや資料をまとめ、研究成果を共有するための英語教員セミナーを実施することが、主な取り組みであった。 2月に実施した研究最終報告会では、アジア諸国の取り組み、前年度に行った「英語で教える」の取組状況についての調査結果を報告した。2013年度に新学習指導要領が実施された後も「英語で教える」に取り組めていない教員が多い現状について、その要因および「英語で教える」を成功させるための課題について参加者と一緒に考えるとともに、積極的に取り組み成果を上げている例についても紹介し、成果をあげている教員は、個々の取り組みだけでなく、他の教員との連携をしている傾向があることも報告した。また、小中高で連携しながら英語教育の改革に先進的に取り組んでいる京都光華小、中、高等学校とも連携し、同校の取り組みを1つのモデルとして呈示しながら、学校全体として取り組み、教員間の連携、小、中、高が連携して取り組めるカリキュラムの構築の重要性を強調した。一方的な研究成果発表にとどまらないよう、参加者のそれぞれの勤務校での取り組みおよび課題について共有、議論する場をもち、他校の教員との意見交換を通して、それぞれが自校に導入できる手法を模索する形の教員トレーニングの有効性を体験してもらい、今後も継続的にそのような場を設けていくこととした。
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