研究課題/領域番号 |
24520724
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
二木 博史 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (90219072)
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研究分担者 |
上村 明 東京外国語大学, 外国語学部, 研究員 (90376830)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地図 / モンゴル / ガバナンス |
研究概要 |
8月に研究代表者・分担者が現地調査を実施し、モンゴル国立図書館に所蔵される地図、境界報告書(nutug-un cese)のうち、独立モンゴル国時代以降に作成されたもののリストを作成し、一部の閲覧、複写、分析をおこなった。 同現地調査のときに、E.ラブダン(モンゴル国立大学)、L.アルタンザヤー(教育大学)らモンゴルの専門家と地図・地名の共同研究のためのうちあわせをおこない、今後の研究のすすめかたについて意見の交換をおこなった。2014年にウランバートルで地図・地名に関する国際会議を開催する計画についても、協議をおこなった。モンゴル国立中央文書館、モンゴル国立図書館であらたな資料を発掘するための準備作業をすすめた。 10月に二木博史(代表者)、上村明(分担者)、E.Ravdan、L.Chuluunbaatar編の、モンゴルの地図および地名の研究にかんする論文集を"Mongol orny gazryn zurag bolon gazar nutgiin neriin sudalgaany asuudluud" (『モンゴルの地名・地図の研究の諸問題』)として刊行した。同論文集には、モンゴル、日本、中国、ポーランドの研究者の13本の論文が収録されている。これらのうち、とくにL.アルタンザヤー、J.ナランガラブ、Sh.ソニンバヤル、Ts.シャグダルスレン、G.エンフバト、二木博史の論文は、本研究課題が対象とする時代と地域を直接あつかっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度にはモンゴルで現地調査を実地し、1910、20年代の地図、関係文書の調査やモンゴル側の研究者との共同研究のうちあわせをおこなうことができた。 また本研究課題を直接あつかった論文をふくむ論文集"Mongol orny gazryn zurag bolon gazar nutgiin neriin sudalgaany asuudluud"(『モンゴルの地名・地図の研究の諸問題』)をモンゴルで刊行できたことは、2012年度のおおきな収穫である。 モンゴルの特定の地方で、古地図上の情報と現在の状況を比較する作業をおこなうという計画は、2012年度には準備不足のため、実現できなかった。他方で、モンゴルの文書館、図書館の方針の変化によって、あらたに地図あるいは関連資料をデジタル化する面で、若干の困難が生じている。 しかし全体的にみれば、清代の後期(19世紀すえ、20世紀はじめ)、独立モンゴル王国時代(1911-1915年)、反ボリシェビキ勢力による自治再興の時期(1921年前半)、1921年革命のあとの時期に、それぞれ明白な政治的意図により作成された地図と関連資料を比較研究するという、本課題の研究目的にそった、初年度の作業は、おおむね達成されたと判断しうる。
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今後の研究の推進方策 |
20世紀のはじめのモンゴルにおける権力構造の変化が地図の作成にいかなる影響をあたえたかについて、実証的に研究するという基本的な方向を維持する。具体的には1911年の独立によって樹立された新政府の政策、1921年はじめに自治政府を復活させたウンゲルン政権の命令、同年夏に成立した人民党政権の方針等のなかで、地方に対する支配の確認・強化、隣接する国家あるいは地域との境界の決定という目的で作成された地図と境界報告書を歴史の資料として、正確に位置づける作業をすすめていく。 このような研究のための一次資料をもっともおおく所蔵しているのは、モンゴル国立中央文書館とモンゴル国立図書館なので、これらの機関で調査を実施し、必要な資料の閲覧・複写をおこなう。 地図に記載された情報と現在の状況を比較するために、特定の地域で現地調査をおこなう。 最終年度(2014年度)にはウランバートルでモンゴルの地図・地名の研究の国際会議を組織する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. 研究代表者と分担者によるモンゴルにおける現地調査の実施(旅費)。モンゴル国立中央文書館、モンゴル国立図書館でおもに1910、20年代の各地域の地図、関連文書(地図作成の命令、境界報告書など)を調査する。特定の地域で、地図情報と現在の状況を比較する。モンゴルの研究者と共同研究をすすめる。 2. 地図および関係文書の複写(その他)。中央文書館、国立図書館に所蔵される資料の複写。 3.地図・地名に関する文献の収集(物品費)。モンゴルで出版された文献の購入。 4.研究協力者等への謝金(人件費・謝金)。
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