中国・朝鮮における古代石窟・古墓壁画、あるいは出土した陶俑等にあらわされている楽器や、舞踊・奏楽資料によって、古代東アジアの音楽文化を考察検討した。その成果として、まず、第一に壁画・陶俑等の図像資料により新資料を蒐集できたこと、第二に図像資料と文献史料の総合化によって古代中国、朝鮮(主として1~7世紀)の音楽文化の比較検討を行い得たこと、その結果として第三に中国魏晋や北朝の楽器資料中の臥箜篌・阮咸・長簫等と高句麗の玄琴・阮咸・長簫の共通性が、壁画や陶俑などによって確認できたことなどがあげられる。 これらの調査検討の成果は、4~7世紀の朝鮮・中国音楽の日本への伝来の背景として重要である。
|