戦間期(1910年代後半~1930年代)日本の出版・読書文化の大衆化現象を20世紀前半に世界各地で見られた同種の現象の一例ととらえ、英米の事例と日本の事例の調査および比較出版史的検討を行った。これにより、当該の時期において編集手法、営業手法、読書規範については各地域でほぼ同様の変化が見られるものの、視覚表象の用い方、レイアウト、および実際の読書形態と性差の関りについては、おそらく前の時代の状況を反映して、日本の事例は英米の事例と大きく異なる傾向を示していたことが明らかになった。こうした研究成果は英文による共著として出版された。また、日本でも単著の一部に収められ刊行される予定である。
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