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2013 年度 実施状況報告書

東アジアにおける航海信仰の伝播・融合・転生―16~19世紀の媽祖系信仰を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 24520731
研究機関天理大学

研究代表者

藤田 明良  天理大学, 国際学部, 教授 (50309514)

キーワード航海信仰 「国際情報交換」台湾 中国 韓国 / 媽祖「国際情報交換」台湾 中国 マレーシア / 天妃「国際情報交換」台湾 中国 マレーシア / 天后「国際情報交換」台湾 中国 マレーシア / 船玉 / 東アジア海域 「国際情報交換」台湾 中国 韓国 / 文化交渉 「国際情報交換」台湾 中国 韓国
研究概要

本研究は、代表者が以前から進めてきた媽祖(天妃・天后)信仰をはじめとする東アジアの航海信仰研究の体系化に向けた準備として、史資料の更なる調査収集を実施し、事例の蓄積と整理・検証を推進するものである。本年度の実績は次の通り。
①前年度の調査で新たに調査収集した史資料をもとに執筆した論文「於江戸時代東日本天妃信仰的歴史展開」を台湾の論文集に掲載、また、前年度に研究集会で報告した日本の媽祖言説や東アジアの航海信仰に大きな影響を与えたオランダ船による普陀山襲撃事件について、今年度の九州国立博物館や台湾故宮博物院の調査成果を加えた論文「近世初期東アジア海域における情報伝達と言説生成―1665年オランダ船普陀山襲撃事件を中心に―」と、前年度と今年度の沖縄方面の調査で収集した史資料の一部によって執筆した論文「近世琉球における媽祖信仰と船方衆―那覇若狭町村の新参林氏とその媽祖像を中心に―」を各々論文集に掲載した。
②前年度と今年度の東京・鹿児島・長崎方面の調査で収集した史資料をもとに学会発表「日本における媽祖系信仰の伝播・融合・転生」と「近世鹿児島の媽祖信仰―菩薩堂と永福寺を中心に―」をおこなった。また、前年度の東日本調査と今年度の北陸や羽越など日本海側の調査で収集した史資料をもとに学会発表「日本海沿岸に残る媽祖像と媽祖系船玉神像 ―北前船の航海儀礼と媽祖―」と「中近世日本の媽祖信仰と宮城七ヶ浜の天妃聖母元君像」をおこなった。
③中国寧波と日本の文化交渉とその背景となる環境を平易に論じた著書(共著)のなかで、舟山群島について論述し、東アジアの仏教系航海信仰の要である普陀山と周囲の島々の歴史と環境について明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①国内調査
今年度計画していた北陸(福井・石川・富山・新潟)に東北日本海側(山形・秋田・青森)の調査は、北の秋田・青森を除いて予定どおり調査を実施し、航海神として伝来していた中国製神像や媽祖をモデルとする船玉神の彫像や画像等の所在を新たに確認し、写真撮影による資料収集を行なった。その結果、直接海外交渉と関係しない地域にも、北前船のように上方や九州とつながるネットワークによって媽祖系航海信仰が伝播していることが判明し、これらの成果の一部を学会発表した。また、論文作成や学会発表のための追加調査も実施した。予定より調査回数が増えたため、LCCなど安いチケットを活用し経費の節減に務めた。
②海外調査
今年度予定していた遼東・山東調査を8月に実施し、大連と蓬莱付近と廟島列島の航海信仰遺跡と資料の調査を実施した。特に、長く外国人の立入りが禁止されていた廟島は、戦後日本人研究者として初の航海信仰の学術調査となった。また、これまでの研究経緯から本研究の遂行上、日本の媽祖信仰のように華人系の航海信仰が伝播し、在地信仰の融合や転生する事例の対照研究の必要性を痛感し、次年度分の前倒し請求をおこない、日本と同じように媽祖信仰が伝来したマレーシアの媽祖関係の廟の調査を実施した。
③研究成果の公表
今年度は本研究に関わる三本の学術論文を公表し、調査の成果・中間報告として四回の学会発表をおこなった。また、仏教系航海信仰の聖地の歴史とそれをとりまく環境を紹介する著書(共著)を公刊することが出来た。

今後の研究の推進方策

①国内調査
今年度の調査で北前船と媽祖系航海信仰の関係が判明したため、当初計画では初年度に予定しながら他の調査を優先するため延期していた瀬戸内方面等の調査を実施する。また、今年度の学会発表やこれまでの調査成果に基づく論文を作成するための追加調査も適宜実施する。回数の増加はLCCの利用など経費節減によって対応する。
②海外調査
日本における媽祖系信仰の伝来を中心に東アジアにおける航海信仰の伝播と現地における影響の体系化をめざす本研究において、他地域との対照研究は重要な位置をしめる。次年度は華人の最大の移住先である台湾などで、信仰の変容(ローカル化)について資料収集のための調査をおこなう。また、論文作成や学会発表のために追加調査が必要であればLCCの利用など経費節減に務めながら実施する。
③研究成果の公表
今年度の学会発表の内容を論文や著書として公表できるよう努力する。また、本研究の国内外の調査で得たその他の史資料や知見についても、論文・著書・学会発表等の形で公開していくことを目指し、東アジアにおける媽祖系信仰の体系化に向けた準備の遂行を推進する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 近世琉球における媽祖信仰と船方衆―那覇若狭町村の新参林氏とその媽祖像を中心に―2014

    • 著者名/発表者名
      藤田明良
    • 雑誌名

      武田佐知子編『交錯する知―衣装・信仰・女性―』思文閣出版

      巻: なし ページ: 232-265

  • [雑誌論文] 於江戸時代東日本天妃信仰的歴史展開2013

    • 著者名/発表者名
      藤田明良
    • 雑誌名

      『媽祖信仰文化曁在地人文藝術―國際學術研討會論文集』財團法人北港朝天宮

      巻: なし ページ: 97-120

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 近世初期東アジア海域における情報伝達と言説生成―1665年オランダ船普陀山襲撃事件を中心に―2013

    • 著者名/発表者名
      藤田明良
    • 雑誌名

      中島楽章編『南蛮・紅毛・唐人 ―16・17世紀の東アジア海域』思文閣出版

      巻: なし ページ: 283-317

  • [雑誌論文] 台湾澎湖諸島・将軍1号沈船2013

    • 著者名/発表者名
      藤田明良
    • 雑誌名

      季刊考古学

      巻: 123 ページ: 85-87

  • [学会発表] 日本における媽祖系信仰の伝播・融合・転生

    • 著者名/発表者名
      藤田明良
    • 学会等名
      第83回「書物・出版と社会変容」研究会
    • 発表場所
      一橋大学
  • [学会発表] 近世鹿児島の媽祖信仰―菩薩堂と永福寺を中心に―

    • 著者名/発表者名
      藤田明良
    • 学会等名
      九州史学会大会日本史部会
    • 発表場所
      九州大学
  • [学会発表] 日本海沿岸に残る媽祖像と媽祖系船玉神像 ―北前船の航海儀礼と媽祖―

    • 著者名/発表者名
      藤田明良
    • 学会等名
      対外関係史研究会例会
    • 発表場所
      東京大学
  • [学会発表] 中近世日本の媽祖信仰と宮城七ヶ浜の天妃聖母元君像

    • 著者名/発表者名
      藤田明良
    • 学会等名
      東北中世史研究会・仙台藩研究会合同例会
    • 発表場所
      仙台市民会館
    • 招待講演
  • [図書] くらしがつなぐ寧波と日本 ―東アジア海域に漕ぎだす32013

    • 著者名/発表者名
      藤田明良(共著)
    • 総ページ数
      252(担当90-103)
    • 出版者
      東京大学出版会
  • [備考] 天理大学国際学部教員研究者情報/地域文化学科/アジア・オセアニア研究コース/藤田明良

    • URL

      http://www.tenri-u.ac.jp/teachers/dv457k0000001zv9.html

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公開日: 2015-05-28  

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