本研究は、日本の中世社会(12世紀半ばから16世紀を措定)に受容された大陸からの請来品、いわゆる「唐物」が、実際にはどのような文物であり、どのような意識を持って受けとめられていたかを明らかにする比較史(資)料論であり、東アジア的視点に立つ文化交流史として研究を行った。 具体的には、中世前期に宋元の文物が移入された鎌倉地域を対象とし、文物台帳としての什物帳を残している寺院史料に検討を加えることにより、当該期における「唐物」の位置づけを明らかにし、同時に種々の請来遺品との比較検討によって具体像を明らかにする基礎的研究として結実した。
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