「古代地方官衙における地域間交流の研究」をテーマとして、日本古代の律令国家が中央集権的統治のため地方に設けた国府(国衙)・郡家(郡衙)などの役所に注目し、それら役所が様々な機能を果たす中で、他地域との間に盛んな交流を展開した姿を、具体的事例に則しつつ明らかにした。国府では出雲国府・武蔵国府など、郡家では東国の上野国佐位郡家・新田郡家・多胡郡家、武蔵国橘樹郡家・幡羅郡家、下野国河内郡家、相模国高座郡家などの事例を検討した。その結果、前代以来の王権と地方豪族との人的な結びつき、渡来人との結びつき、漢字文化・仏教・寺院の受容や、隣接諸地域との多様な政治・経済・文化的交流の諸様相を明らかにした。
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