研究課題/領域番号 |
24520741
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
原 直史 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (70270931)
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研究分担者 |
浅倉 有子 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (70167881)
岩本 篤志 立正大学, 文学部, 講師 (80324002)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 藩地域 / アーカイブズ |
研究概要 |
藩政アーカイブズ研究部門・蔵書アーカイブズ研究部門として、浅倉・岩本両人は新発田市立図書館をはじめとした各地に分散所蔵される藩政アーカイブスの中から、「蔵書」目録およびその周辺の史料を重点的に調査し、共同して『新発田藩溝口家書目集成』全4巻の編集をすすめ、解説を執筆した。これによりこれまで断片的に知られていた新発田藩における「書物」アーカイブズのありかたを、俯瞰して把握することが可能になったことは、大きな成果である。また両人と原は共同して、上記集成に掲載しなかった道具目録類を『新発田藩道具帳集成』として独自に刊行し、研究史料の公開に資することとした。これにより書画・書物・道具がそれぞれ接点となりながら、藩主およびその周辺の文化的環境が展開していくありさまを探る手かがりを得ることが出来たことは、藩の「書物」アーカイブズ全体の態様を把握する上でも、有益な知見であった。 さらに原は学生アルバイトを雇用しつつ、新発田藩政史料の既刊目録類について電子化作業を実施し、主要な部分についてこれを完了した。とりわけその書式上検索が困難であった新発田市立図書館編の『郷土史資料目録』を電子化し検索可能としたことは、藩政アーカイブズの全体を把握しつつこれを多様な角度から検討する上で、必須の前提が確立できたということができる。なお近代以降の経緯により複数の場所に分割保存されている史料について、従来それぞれ別個に作成されてきた複数の目録を、統一したフォーマットで電子化し検索可能としたことは、藩政アーカイブズの全体像把握の上で非常に重要であり、なお次年度に向けさらにこの方面の充実を図っていく。 一方地主・町村アーカイブズ研究部門については、主対象アーカイブズ選定に向けた予備調査等が行われたが、なお課題を残した。この点については下記達成度の項で詳述する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記概要で述べたように、藩政アーカイブズ研究部門・蔵書アーカイブズ研究部門については、おおむね順調な研究の進展を見ている。一方で地主・町村アーカイブズ研究部門の研究については、担当である原の学務委員長としての校務が思いの外多忙となったこと、主要検討対象として予定していた白勢家文書について、所蔵している新潟大学図書館の改装工事が長引いた影響で、閲覧の便が得られなかったこと、等により、研究の進行が遅れている。 また、全体のとりまとめの上では、電子化した目録情報など研究成果を共有するためのファィルサーバー等の設置が、25年度当初にまたがる時期にずれ込んでしまったこと、また、年度内に共同研究会が開催できなかったこと、の2点も指摘することができる。 以上により現在までの達成度は「やや遅れている」となるが、これらの条件は25年度にはクリアできる見込みであり、充分挽回することが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
上記達成度で述べたように、本年度は「やや遅れている」状態からの挽回が喫緊の課題である。これについてまず全体的なとりまとめとしては、研究会の開催、ファイルサーバーの設置等について、既に25年度早期に具体的に実施することが計画されている。また地主・町村アーカイブズ研究部門においても、利用可能となった文書史料の収集検討などを通じて、これらのアーカイブズが「藩地域」という枠組みの中で、どのように他の諸要素と関連しつつ形成されているのかを探ることを目標とし、研究を進めていく。 なお藩政アーカイブズ研究部門・蔵書アーカイブズ研究部門については、順調に推移しているので、当初予定通りそれぞれの史料調査を進めつつ、さらに複数の目録をはじめ、史料自体の電子化・共有化を進める中で、固有の課題について追求していくこととなる。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の推進方策で述べたとおり、25年度早期にもちこされた課題を遂行する中で、次年度使用額の部分を使用していくことになる。具体的にはファィルサーバーの設置に関する経費、地主・町村アーカイブズ研究に関する文献購入、および研究旅費である。なおこの他に、すでに24年度内に作成が完了していながら会計処理が新年度に持ち越された、『新発田藩道具帳集成』の刊行経費も含まれる。 これらに関しては、ファィルサーバー設置経費を初め主要な部分の執行計画が既に具体的に進行しており、着実に研究費として使用しつつ、「やや遅れている」状態からの回復につとめることが見込まれる。
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