本年度の研究は、前年度までの収集史料、および共有化した史料情報の蓄積を基盤として、これをもとにした分析を一層進める形で、主として行った。とりわけ藩政アーカイブズ研究部門、および地主・町村アーカイブズ研究部門においては、この部分を意識的に進めた結果、浅倉有子「在番のアーカイブズ―新発田藩溝口家の高田在番に関する基礎的考察―」および原直史『新発田藩大庄屋帳面目録』の発表・刊行という成果を得た。このうち前者の論文は、上知された他領への在番という特別な事項に関するアーカイブズがどのように形成されるかという問題を明らかにしつつ、狭義の藩領支配に留まらない形での藩政の展開とアーカイブズの問題を論じ、当研究テーマのさらなる展開を方向付けるものとなった。 本年度は最終年度として、関係の研究者を招聘する形でのシンポジウムを当初計画していたが、メンバーの健康不良などで実現が困難となった。そのかわりに12月20日に開催された第3回の「新発田藩研究会」では、研究代表者・研究分担者以外の一般参加者も含めた報告を組織することを得て、有意義な情報交流を進めることができた。上記論文・図書も、こうした研究交流を踏まえた形で完成したものである。
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