本年度は、イギリス・ロンドンにある英国国立公文書館や、中国の武漢市档案館・湖南省図書館・南京第二歴史档案館等において、研究課題に関する調査活動を実施した。 7月末から8月にかけて調査を実施した英国国立公文書館では、第二次大戦末期の英米統合参謀本部の議事記録や戦時期のイギリスの東アジア政策決定に関する文書を探査し、必要部分を撮影により入手した。なお最初の計画では本年度はアメリカ・スタンフォード大学フーバー研究所図書館での調査を予定していたが、昨年度の実施状況報告書に記載したとおり、研究調査の進展状況との関係で英国国立公文書館の調査を優先させることとした。 9月下旬には中国華中の諸都市を訪問して、課題に関する調査を実施した。武漢市では武漢市档案館・華中師範大学近代史研究所図書館、長沙市では湖南省図書館・湖南大学近代史資料室、南京では第二歴史档案館・南京図書館等において、研究課題に関する資料を閲覧し、必要部分を撮影や複写により入手した。 また東京の国立国会図書館等においても、随時資料調査を実施した。 昨年度の大陸打通作戦をめぐる資料収集と成果の公表に引き続き、同作戦にともない生まれた厖大な戦争難民の問題に取り組んだ。研究史を整理しながら収集資料を読み進み、日中全面戦争期の地域社会変容の要因となった戦争難民問題についての全体像を追跡した論文を『環東アジア研究』に公表した。
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