研究課題/領域番号 |
24520743
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
黒川 みどり 静岡大学, 教育学部, 教授 (60283321)
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研究分担者 |
小嶋 茂稔 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20312720)
與那覇 潤 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (50468237)
姜 海守 国際基督教大学, 付置研究所, 研究員 (60593928)
山田 智 静岡大学, 教育学部, 准教授 (90625211)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中国 / 近代日本 / 他者 / アジア / 内藤湖南 / 吉野作造 |
研究実績の概要 |
本研究は、明治後半から昭和初期にかけての知識人を対象に、近代日本の中国認識を明らかにした。内藤湖南を中心にすえ、吉野作造を比較の軸におきながら、中国ナショナリズムの理解、日本と中国の「文化」理解を分析し、中国―アジアという「他者」への向き合い方のありようを追究した。 近代日本は、アジアに対して「他者」感覚を欠落させがちなまま歴史を積み重ねてきたことは否めず、それがゆえに、東亜協同体論、大東亜共栄圏が唱えられ侵略が正当化されていくことにもつながった。それは中国ナショナリズムへの理解を欠いた内藤の中国「文化」理解にも通じるものであり、その点において吉野との違いは明白である。また、日本文化と中国文化は異質であるとの認識を持つ津田左右吉の存在は内藤と対蹠的であるが、津田もまた日本の中国侵略の徹底した批判者とはなりえなかった。そうした比較検討をつうじて、内藤・吉野のほかに津田なども組み込むことで、再度アジア観の系譜をたどり直し、また竹内好が注目した「アジア主義」という枠組みについても考察してきた。北一輝らアジア主義者の論攷を読み、現在は竹内好の中国認識を捉え返す試みを行っている。
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