研究課題/領域番号 |
24520755
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
真木 隆行 山口大学, 人文学部, 准教授 (00325234)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 密教僧 / 布施 |
研究概要 |
中世において王権からの勅請修法要請に応じる密教僧の収入源がどのように構成されていたかという問題に着目し、布施とそれ以外との比較検討、顕教僧の収入源との比較検討、中世後期に規模を増大させる地方仏事布施との比較検討などを推進することを計画した。そこで初年度にあたる当該年度では、毎年正月の後七日御修法と御斎会、臨時におこなわれる密教修法、東寺における供養会、地方寺院における供養会、これら関する史料収集をおこない、検討をすすめた。御斎会の関係史料の検討にあたっては、その会場となった大極殿を縮小復元するかたちで創建された平安神宮(京都市)に出張した。『年中行事絵巻』にみえる様子と照合しながらリアルな空間的把握に努めるためである。その結果、僧侶たちの配役に関する理解を深めることができた。東寺の塔婆供養会の史料をリアルに読み解くため、5月の東寺五重塔内部公開にあわせて現地を訪れたところ、東寺の築地塀の発掘調査が進行していることを知った。そこで改めて8月に橋本義則氏や京都市埋蔵文化財研究所の網伸也氏・近藤奈央氏に現場を御案内いただき、かつての東寺境内の東面(築地塀と2つの門)に関する最新の知見を得た。また東寺の関係史料として、東寺百合文書の写真版を部分的に購入することができた。臨時の密教修法に関する史料については、『群書類従』など活字史料の収集をすすめた。中世後期の地方仏事については、興隆寺一切経会に関する論文を執筆中である。関連して、興隆寺文書の現地調査を実施した。その成果の一部を大内氏歴史文化研究会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
出張予定時期に、勤務大学の公務や学会事務局の運営が重なってしまったため、残念ながら、8月の虫干しにあわせた史料調査や、10月公開の仏事を見学するための出張などが実現しなかった。関係史料をもう少し多く収集し、整理しておく予定であったが、いずれも不充分な作業にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に果たし切れなかった史料調査・仏事見学・史料収集・史料整理をそれぞれ実施した上で、後七日御修法や御斎会に関する収支からまず明らかにしたい。護持僧の担っていた長日御修法の収支についても検討を進めたい。興隆寺一切経会に関する論文については次年度中に執筆を終えたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に繰り越すことになった研究費は、史料調査のための出張および写真版入手のために留保していたものだったため、初年度に果たせなかった東京出張費にあてたい。その際に写真版購入の必要が生じた場合には、次年度の研究費をそれにあてたい。
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