研究課題/領域番号 |
24520760
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
青木 歳幸 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 教授 (60444866)
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研究分担者 |
小川 亜弥子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (70274397)
ミヒェル ヴォルフガング 公益財団法人 研医会, その他部局等, 研究員 (90619769)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医学教育 |
研究概要 |
研究初年度は、各自調査と研究発表会を実施した。第1回研究会を7月1日、佐賀大学附属図書館において開催し24年度計画を立案し、佐賀藩支藩小城鍋島文庫共同調査を実施した。第2回研究会を、研究代表者青木歳幸がGeneral Chairである10月25日~26日の第二回在来知歴史学国際シンポジウム(ISHIK2012、於佐賀大学)に合わせて開催し、研究分担者ミヒェル・ヴォルフガング、研究協力者海原亮が発表をした。 各自調査及び研究発表:代表者青木歳幸は、佐賀藩好生館資料調査、種痘関係資料調査及び伊東玄朴象先堂調査を実施し、「近世佐賀の地域特性と普遍性―医学史の視点から」(『地域史の固有性と普遍性』、地域学歴史文化研究センター、pp97~102、2013)、「種痘にみる在来知」(佐賀大学地域学歴史文化研究センター研究紀要、第7号、pp1~21、2013)の論考成果を得た。ミヒェル・ヴォルフガングは、村上医家史料館・大江医家史料館の医家資料の重点的調査を行い、「伝統と革新―江戸・明治期の日本における医科器械」(『Proceedings of International Symposium on the History of Indigenous Knowledge(以下ISHIK2012)』、pp61~67、2012)を発表した。小川亜弥子は、長州藩医学校・種痘関係史料調査を山口県文書館を中心に行った。研究協力者海原亮は、「19世紀前半における地方藩医の蔵書と学問」(『ISHIK2012』、pp55~60、2012)を発表し、三木恵理子は京都小石家文書調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年次計画に従って順調に調査研究が進展し、達成度は約3割である。佐賀藩医学教育に関しては、安政5年(1858)に開設された好生館においての西洋医学教育の実態が明らかになりつつある。同館蔵書蘭書目録によれば、佐賀藩の蘭医学書は104冊あり、外科書が17冊、解剖学書が10冊、内科書9冊などが判明し、明治初年の学則によればドイツ医学を中心とした西洋医学教育がすでに実施されていたことが判明し、明治4年の我が国ドイツ医学導入以前に、佐賀藩ではドイツ医学教育を展開していたことが判明した。中津藩では村上医家史料館、・大江医家史料館の史料整理・分析が進展した。長州藩に関しては、毛利家文庫に点在する個々の医学関係史料を重点調査した結果、これまで不明であった史料群の相互の関係、編綴の過程、及び残存形態について明らかにすることができた。これにより、長州藩医学教育の実態解明に係る基盤をほぼ整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
諸藩の医学教育の比較研究のため、6月に中津で25年度第一回研究会を開催し、各自中間研究発表を行い、進捗状況を確認し、中津藩医学校関連資料調査を行う。さらに、9月14日の洋学史学会佐賀大会において、第二回研究会を開催し、研究発表にも参加する。10月24日~27日のISHIK2013にも参加し、日中の医学教育の比較研究を実施し、研究発表も行う。12月に山口で第3回研究会を開催し、中間発表を行うとともに、長州藩の医学教育・史料についての調査研究を深める。 最終年度の報告書(含む資料集)の刊行準備、とくに資料選択も並行して準備をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は調査研究を主とするため、備品費・物品費10万円、旅費60万、人件費10万、諸費10万の使用計画ですすめる。
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