本研究では、日本が華北に駐留させていた清国駐屯軍(支那駐屯軍)の、設置から廃止に至る歴史を、中国国内情勢の変化(辛亥革命、中国内戦)や国際情勢の変化(第一次世界大戦、満洲事変)との関係で明らかにした。また各国の駐屯軍の状況と変化についても、可能な限り明らかにした。はじめは国際協調につとめ突出した行動をとらなかった日本軍が、1930年代から性格をしだいに変化させていく様相を明らかにした。これは中国という場における列強諸国による外交団による協調体制(北京議定書システム)が、ワシントン体制期を経て機能しなくなり、やがて崩壊していったことを、駐屯軍という要素から描いたことを意味するものである。
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