研究課題/領域番号 |
24520770
|
研究機関 | 上野学園大学 |
研究代表者 |
櫻井 利佳 上野学園大学, 付置研究所, 講師 (80622571)
|
キーワード | 日本音楽史 / 小右記 / 中右記 / 雅楽 / 音楽 |
研究概要 |
一昨年度に引き続き、昨年度も小野宮実資の日記『小右記』における音楽を把握する為、同書の音楽記事抽出に多くの時間を費やした。この作業が本研究の根幹となる。そのため、作業方針の一貫性が必要になるわけだが、実際には作業を進めるに従って、大小の修正、調整が必要となった。 大きな変更点は、計画当初の方針では、『小右記』記事のなかで音楽が行われた催事、日時、経緯、場所、規模、人物、曲種、楽器などについて日記の記事を抽出していく予定であったが、日記の記事が、仏教法会については予想以上に詳細である上、法会の次第通り、即ち時系列に沿って法会流れを記述しているため、むしろそのなかの音楽的要素のみを切り分けることは不適切と判断し、法会の次第のほぼ全体を音楽記事として扱うことにした。また、記事全体における法会の割合が著しく多く、そのことも作業が進まない要因となっている。しかし、こうした作業を通じて、音楽の場や演奏形態のみならず、当時における各儀礼の割合や軽重、各儀礼における音楽の比重の高さや実態を改めて客観的に捉えることが可能になって来た。 このような事情により、また『小右記』の音楽記事のみでも相当の量があり、昨年度中には、各記事の詳細な分析には到らなかった。 本年度は最終年度にあたっており、作業の遅れを取り戻すべく努力すると同時に、本年度内に一定の成果を出せるよう、特に『小右記』の音楽記事作成に作業を集中するよう心がけたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度・25年度を通じて主に『小右記』中の音楽記事抽出を行ったが、抽出の方針について、日記の記載内容に応じて調整を行っていることと、そのことによって計画当初の見込みよりも音楽記事として扱う分量が増加したことにより、音楽記事抽出作業自体に遅れが生じた。見込みが甘かった点は反省するが、実際の作業を通じて初めて分かったことであり、内容に即して方針・作業内容を調整することは必要であると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
『小右記』音楽記事の抽出およびデータ入力と平行して、記事の校訂、分析を進めることで、昨年度の遅れを取り戻すよう、努力する。『小右記』の音楽記事集成については、本年度内に作成することを目標とする。 また、『中右記』については詳細な記事作成を行う時間的余裕がないため、今年度は記事の抽出に力を注ぎたい。
|