研究課題/領域番号 |
24520776
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
加納 寛 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30308712)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 国際研究者交流 / タイ |
研究概要 |
平成24年度については、当初計画に基づき、戦時期の日本が発行したタイ語プロパガンダ誌について、日タイ両国の主要研究機関・図書館等における史資料の所在確認を実施した。その結果、戦時期日本の発行によるタイ語プロパガンダ誌は、タイ国内においてはほとんど現存しないことがより明確に確認できた。そのため、あわせて欧米の研究機関・図書館等における所在状況も検索を実施し、より広範な資料所在情報が整備できるようにしたが、欧米諸国においてもこれらの史資料はほとんど所在しないことが分かった。タイ国内等における所在調査により、戦時期日本において諸資源をかなり優先的・潤沢に割り当てられて作成されたタイ語プロパガンダ誌が、実際にタイにおいてそれほど浸透していなかった可能性も推察しうるが、この点については平成25年度以降さらにタイ政府公文書等の史料によりつつ検討を続けていきたい。 上記調査に基づき所在が確認された史資料については、その一部である『太陽』および『イープン・サヤーム』について、撮影による複写を実施し、ウェブサイトにおける公開の準備を整えながら、データベース作成の基礎資料を整備することに注力した。 これらの作業によって、平成25年度において戦時期日本のタイ語プロパガンダ誌を分析するための準備が整った。また、平成24年度の成果については、平成25年3月16日に開催された中国現代史研究会研究集会シンポジウム「東アジアにおける日中戦争」においても「戦時期日本によるタイ語プロパガンダ誌」として発表を実施し、戦時期日本の対中国・対朝鮮・対台湾活動等を研究する研究者らとの情報交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度に予定していたタイ語プロパガンダ誌の収集については、計画通りに所在情報を収集でき、一部については撮影による複写も完了し、データベース構築の基礎を形成することができたが、撮影複写すべき史料は未だ多く存在しており、この点で平成24年度の達成度としては「やや遅れている」と評価せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降については、史料の複写・入手を続行しつつ24年度に基礎を形成したデータベースの構築を完成させるとともに、ウェブサイト上への公開を試みる。また、複写・入手した史料の内容分析を、日本語・タイ語の両テクストを用いながら実施していく。また、タイにおいて、日本のタイ語プロパガンダ誌を当時のタイ政府がどのように認識していたかについて、タイ国立公文書館史料やタイ政権担当者の手記等の史料から明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度については、タイにおける史料収集を続行するとともに、アメリカおよびオーストラリアの図書館等に所在する日本のタイ語プロパガンダ誌を閲覧するため、外国旅費を使用する。また、日本国内においてもタイ語プロパガンダ誌所蔵機関を訪問し、撮影複写を実施するために国内旅費を使用する。データベース構築にあたっては、収集した史料の整理のため、史資料整理補助のために人件費・謝金を使用する。
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