近世後期の環伊勢湾の産業の展開を考えるにあたり、まず地域性を重視した。知多半島のフィールドとした場合、西浦と東浦地域の差異を考えた。つまり、伊勢に近いか、三河に近いかである。次に、市場としての地域の持つ性格を明らかにした。とくに産業を生み出す生産力との関係において、酒・木綿・干鰯の流通を取り上げた。 なかでも、半田の酒造業の展開を考えるにあたり、半田の地域を包摂する求心力や、消費地刈谷への供給の意味を重視した。そのうえで江戸をターゲットとする名産品を生み出すことができる。生産および販売のための流通を区別して明らかにすることが必要である。
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