研究課題/領域番号 |
24520783
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
大谷 渡 関西大学, 文学部, 教授 (80340644)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 台湾 / 日台関係史 / 戦前・戦後史 / 社会文化史 / 思想・精神史 / 生活史 |
研究概要 |
本研究の目的は、統治下において日本教育を受けた台湾の人びとが、戦後の台湾社会をどう生きたのかを社会文化史的観点から多角的に跡付け、その日本認識の核心及び上層部分の変容過程を具体的に解明することである。この人たちの、日本社会と文化への思いの核心やその変遷は、戦後社会での彼らの実生活を知り、心の襞にまで目を注いで初めて、その精神史の全体を把握することが可能となる。この観点に立って、台北・台中・台南・高雄において、80歳代後半から90歳代の人たちからの聞き取り調査と、文字資料及び写真その他の資料収集を精力的に進めた。日本国内においても、関連資料の収集と聞き取り調査を実施した。収集した資料を十分に検討し、プライバシーに配慮した上で、その研究成果を公表した。 台湾における研究協力者との十分な打ち合わせを行い、国立台湾海洋大学海洋文化研究所の協力を得て、本研究成果の発表を目的として、2013年3月15日に基隆の同大学において、国際シンポジウム「台湾と日本の戦前・戦後」を開催した。シンポジウム当日には、聞き取り調査対象者の参加があり、日本からの出席者もあって充実したシンポジウムとなった。当日には、本研究代表者が編集発行した『国際研討会 台湾與日本的戦前・戦後 研究報告論文集』を配布したことによって、討議内容が一層充実した。 2013年3月8日発行の『関西大学文学論集』第62巻第4号には、「記憶の中の台湾と日本(7)-統治下に育った人びとの戦後の軌跡-」を掲載した。2012年7月2日付の『産経新聞』夕刊文化欄には、「戦後67年 台湾の人々の心」を執筆し、研究成果の一部を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、十分な準備と申請者のこれまでにおける研究の積み重ねの上に立って進めたことにより、当初の計画以上に研究が進展している。これまでの研究成果は『台湾と日本――激動の時代を生きた人びと』(東方出版刊、2008年)、『看護婦たちの南方戦線――帝国の落日を背負って』(東方出版刊、2011年)として出版していて、これらの研究を進める上で協力を得た台湾の人たちとのネットワークが、本研究進展の上で大いに役立っていることが最大の理由としてあげることができる。 初年度において、研究成果の発表を目的として、台湾で充実した国際シンポジウムを開催できたのも、これまでの研究の積み重ねによるものである。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度の研究成果の上に立って、台湾全島において聞き取り調査及び資料収集を継続する。すでに2012年度において、2013年度中に調査に応じてもらえる人たちとのコンタクトを整えている。さらに、これまでの台湾での研究調査によって得た成果から、日本国内及び中国においても、関連資料の調査と収集を実施する。 収集した資料は、十分な検討の上に立って公表する。日本国内において国際シンポジウムを開催し、研究成果を出版する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額(B-A)24,825円は、2012年度末に購入予定であったUSBメモリとデジタルカメラのメモリなどの購入費に充てる。
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