研究課題/領域番号 |
24520784
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
近藤 正己 近畿大学, 文芸学部, 教授 (70247956)
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キーワード | 日本近現代史 / 官僚研究 / 教育史 |
研究概要 |
今年度は第1段階として、すでにデジタルカメラによって撮影された内海忠司日記を行切り出しする作業をおこなった。行切り出しとは日記をSMART-GSで翻刻できるようにする作業であるが、これには専門的知識と技術が必要なため、SMART-GSを開発した京都大学の林晋教授グループに依頼し、夏前に終了することができた。第2段階は、翻刻に従事するメンバーがSMART-GSを習得するための講習を受け、翻刻担当年度を決定した上で、内海忠司日記1910~1927年の翻刻にあたった。 なお、内海忠司関係文書のなかには中学時期の日誌がある。この日誌は日記とは形式が甚だしく異なっていたため、SMART-GSを用いることはできなかった。そのため、この日誌については従来通りの方式で翻刻した。 日記の翻刻作業はSMART-GSを使用すると、翻刻用に特化したソフトの出現という感がしたこと、また経験をたよりに翻刻した従来と異なり比較対象が瞬時にできるという点できわめて便利になり、翻刻の精度は大幅に高まったと感じることができた。とはいえ、それでも判読困難な箇所、判読不確定な文字などの出現は免れなかった。 第3段階はこのような判読困難箇所を、翻刻にあたった全メンバーで検討する会合を年が明けてから開催した。この会合で、個人レベルでは判読困難であった文字も日記全体での使い方などの使用例を参考にして解決されることが多かった。これも、SMART-GS効果のひとつであった。これとは別に、SMART-GSの習得度が判読精度のばらつきに大きな影響をあたえることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
行切り作業が遅れたこと、SMART-GSの習得に時間がかかったことなどにより、翻刻作業が若干遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
残された問題としては、日記に登場する人名を特定する作業がある。若干遅れ気味ではあるが想定範囲内であるので、これは日記を用いて論文を執筆する作業とともに並行して進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度のSMART-GSの行切り作業が遅れたために、本年度は翻刻作業が主となり、調査などが実施できなかった。 内海忠司の学生時代に関する調査、また官僚として地方庁で勤務した実態調査など、遣り残した作業は翌年度に実施する予定である。
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