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2013 年度 実施状況報告書

荘園制の地域特性と内乱

研究課題

研究課題/領域番号 24520786
研究機関甲南大学

研究代表者

佐藤 泰弘  甲南大学, 文学部, 教授 (30289011)

研究分担者 高橋 昌明  神戸大学, 人文学研究科, 名誉教授 (30106760)
高橋 一樹  武蔵大学, 人文学部, 教授 (80300680)
キーワード荘園 / 海上交通 / 地形環境
研究概要

今年度は、紀伊国南部荘の現地調査、および伯耆国東郷荘の現地調査を実施した。南部荘は文献史料に乏しいが、和歌山県立博物館の坂本亮太氏の協力を得て現況を踏査し、開発の進展状況および地域の交通における特性(特に高野山への参詣路における位置)を一定度把握することができた。また神野・真国荘の故地についても簡単な巡見を実施でき、荘園図に描かれた状況を確認するとともに、立地条件および立荘後の相論を理解するための知見を得ることができた。また東郷荘は荘園図が残されているものの、関連する史料に乏しい。しかし現地を訪れることによって、荘園図の絵画表記が現地の状況を正確に写し取っていることを確認するとともに、象徴的に表現された部分を切り分けて理解する必要があることを確かめることができ、荘園の立地が日本海の海上交通と深く結びついていることを確認できた。また東郷荘の調査においては、伯耆国国府跡・国分寺跡および因幡国の国府跡・国分寺跡の踏査も行った。それによって、国府の立地と河川交通と海上交通の関連性が高いことを認識するに至った。沿岸部の地形環境が中世から現代にかけて大きく変化している地域と、変化に乏しい地域があり、その変化を勘案するならば、山陰道の荘園おける海上交通の重要性は明らかであり、京都への交通という点においても、中国山地を抜ける陸路とともに、若狭から京都に入る経路についても考慮する必要があると思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

共同研究で実施する現地調査は出雲・伯耆(山陰道)と紀伊(南海道)で実施し、日本海沿岸および太平洋側の沿岸部・山間部について、荘園立地の地域性を確認することができた。また荘園の立地に深く関係しながらも、国府の立地や地域の交通など古代・中世の歴史的展開を理解するうえで、予想以上に重要な知見を得ることができた。個々に分担して行っている地域ごとの研究については、研究代表者が担当する玉滝杣の調査(史料の校訂を伴う作業)が遅れており、方向性を見直すことも考えているため、神野・真国荘の調査などでは予想以上の成果があったものの、全体としてはやや遅れ気味との評価に至った。

今後の研究の推進方策

最終年度を迎えるため、共同研究の総括に向けた研究会に力を入れたい。また当初の予定では玉瀧杣に関する史料調査に重点を置いていたが、荘園立地の多様性と特性を把握する必要性から、別の荘園を取り上げること、もしくは玉瀧杣に別の荘園を加えることなど、調整を行いたい。総括を進める上で課題となってくる地域や荘園を組み込むことについても、柔軟に対応したいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

史料校訂のために東大寺文書のうち玉瀧杣関係の写真を購入する予定であったが、研究課題の実現において、当該荘園とは異なる荘園を取り上げる必要があるのではないかとの判断に至り、史料購入を保留したためである。
最終年度を迎えるにあたり、当初計画の通り玉瀧杣での個別研究を深めるのか、別の荘園に切り替えるか(追加するか)の検討を早急に行いたい。また、現地調査の有効性が高いことが確認されたので、調査地を追加する場合には、写真などの資料購入経費を圧縮し、現地調査および調査に必要な謝金・資料収集に充当したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 地頭下文の基礎的考察2014

    • 著者名/発表者名
      高橋一樹
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告

      巻: 182 ページ: 29-41

  • [雑誌論文] 日本中世の手形―新見荘の割符について―2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤泰弘
    • 雑誌名

      史林

      巻: 96-5 ページ: 1-35

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 六孫王神社は源経基邸を起源とするか?2013

    • 著者名/発表者名
      高橋昌明
    • 雑誌名

      立命館地理学

      巻: 25 ページ: 37-46

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公開日: 2015-05-28  

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