研究課題/領域番号 |
24520787
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
水本 浩典 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (30140396)
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キーワード | 阪神・淡路大震災 / 東日本大震災 / 震災資料 / 避難所 |
研究概要 |
中間年(平成25年度)は、神戸市教育委員会及び神戸市立小学校校長会・神戸市立中学校校長会の支援と協力のもと、本格的に神戸市内の公立小学校及び中学校に保管されていると予測される阪神・淡路大震災時の震災資料に関する本格的な所在調査及び資料調査を実施した。 2000・2001年度に、兵庫県が兵庫県下の震災資料を悉皆調査し、その多くが阪神・淡路大震災記念人と防災未来センターの所蔵になっている。しかし、数多くの神戸市内の学校園には、未だ未調査の震災資料が多く保管されている現状を把握することができた。なお、人と防災未来センター資料室からは、公開・非公開の震災資料の悉皆調査の許可を得て、ほとんど未調査の状況にある震災資料の調査を進めることができた。作業工程は、現地での簡単な資料調査を経て発見した資料を大学の研究室に一時借り出しをする形態で、整理・分類作業を行い、返却している。 当時、広大な面積が焼失した神戸市長田区内の神戸市立地域人材支援センター内で、「神戸ながた震災学習研究会」を立ち上げ、当時の避難所の状況について、市民とともに学ぶ体制を整えた。 上記の作業と平行して、新潟県中越地震被災地・長岡市の震災資料についても、比較検討するため、公開・非公開を含めた震災資料調査の許可を得ることができた。 東日本大震災域の震災資料の状況について、東北大学をはじめ、名取市、山元町などに調査を実施したが、震災資料保存に関しては、未だ緒についたばかりの状況であることが判明している。今後、名取市震災記録室との連携を図るとともに、東北3県の小・中学校の記録誌をベースに調査ができる環境を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①人と防災未来センターや神戸市などの全面的な協力関係を構築できたため、未調査資料の発見や震災資料の悉皆調査を集中的に実施できる環境を形成できたため。 ②震災資料を、市民とともに検討・分析する場として、「神戸ながた震災学習研究会」を構築できた。そのため、より具体的に、避難所などの様態について深く分析できる環境を整えることができたため。 ③新潟県中越地震被災地・長岡市との連携を開始することができたため。 ④東日本大震災被災地における震災資料の保存状況や問題意識について、ある程度の傾向を把握することができるよゔちなったため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の研究の方向性 2015年1月17日は、兵庫県南部地震発生から20周年目にあたる。そのため、震災後20年を経過するなかで、若い世代が如何に震災の「記録」・「記憶」を継承していくかが、課題として認識されつつある。本研究は、このような状況下で、最も進んだ研究進捗状況にあると判断している。 本年度4月より、「震災資料研究会」を若い世代とともに結成し、19年前の震災資料から、当時の貴重な「神戸の教訓」や避難所運営にあたっての「現場のノウハウ」を抽出する作業を開始する計画である。 また、長岡市から、膨大な救援物資関係の震災資料データの提供を受ける計画であり、都市型大規模地震災害時の避難所運営、山間部を中心とした中越地震時の避難所運営について、データ比較を実施する計画である。 同時に、宮城県・岩手県・福島県の3県の小学校・中学校へ、震災資料(特に、避難所関係)の保存状況をアンケート調査を開始する計画である。 本研究を発進するツールとして、平成26年度内に、研究活動状況と成果を発進できるホームページを構築することを考えている。
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