研究課題/領域番号 |
24520792
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研究機関 | 北海道開拓記念館 |
研究代表者 |
山田 伸一 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (30291909)
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キーワード | 近現代史 / 先住民族 / 土地問題 / 北海道開拓 |
研究概要 |
1)北海道立文書館所蔵の開拓使文書と札幌県庁文書を継続的に調査し、「北海道地券発行条例」その他当該期の土地制度の制定過程とその施行状況について関係史料の所在状況の把握を進め、その分析をおこなった。 2)石狩川上流の上川地方を事例として、明治期初期におけるアイヌ民族の居住状況とその変遷、官庁による国有未開地の調査と殖民地区画の測設状況、屯田兵村・民間の大農場・学田・御料地など多様な土地所有の形成過程、和人移住者とアイヌ民族の日常的な接触状況などについて、現地調査と関係資料の調査をおこなった。 3)北海道立図書館、北海道大学附属図書館、国立国会図書館、富山県立図書館などにおいて、北海道内のほか富山県内や東京都内刊行の新聞、雑誌、紀行文などを調査し、アイヌ民族と移住者との関係や土地・山林利用の状況などに関する史料を収集した。 4)3)のうち、特に明治期の『北海道毎日新聞』とその後継紙である『北海タイムス』については関係記事の分析を進め、「北海道旧土人保護法」(1899年制定)以前とその制定後において、土地の所有・利用をめぐって各地のアイヌ民族と和人移住者の間に生じた多様な摩擦について経過を整理した。「北海道旧土人保護法」制定以前においてアイヌ民族の利用地に対する和人の収奪が見られること、そこでは和人によるアイヌ民族の「瞞着」がしばしば問題になっていること、土地をめぐる摩擦を報じる新聞記事の論調においてはアイヌ民族の無能力視や優勝劣敗の社会観への傾斜が見られがちであることなどが特徴として挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度内に胆振地方を対象とした現地調査を進める計画であったが実施できず、開拓使文書の調査が予定ほどは進捗しなかったのは、遅れている点である。一方で、上川地方を対象とした現地調査を進め、新聞記事の分析によって道内各地における関係事例の収集を進めたことで、その遅れを補っている面がある。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、北海道立文書館所蔵の開拓使文書と三県期の文書の調査を進め、「北海道地券発行条例」など当該期のアイヌ民族の扱いについて、また、その施行実態におけるアイヌ民族の取り扱いについての研究をおこなう。 北海道立図書館、北海道大学附属図書館、国立国会図書館などにおいて、明治期の紀行や拓殖事業の実施に関わる調査記録、新聞・雑誌類などの調査を実施し、当時の北海道移住、アイヌ民族の土地所有などに関する史料を収集する。 胆振地方と釧路地方を対象に、「北海道旧土人保護法」による土地下付事例の整理と位置の同定を進め、その特徴や前提となった事情について考察を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
職場の業務過多により、予定していた道外調査の一部が実施できなかったため。 次年度においても業務過多は継続しているが、短期の調査を計画的に実施すること、関係書籍を購入し、収集済み史料の整理・分析を進めることに使用する。
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