本研究は、4~6世紀前後における東アジア世界の出土文物において表現されている服飾などを、文化や生活にかかわる諸要素を分析することによって、この時期の民族移動や文化融合の実態を明らかにすることである。 この内容に沿って、最終年度である平成27年度は、前年度に引き続き、中国各地の新たな出土文物のデータについて、『文物』、『考古』、『考古学報』などの雑誌類、各年の『中国重要考古発現』、あるいは新たに出版された発掘報告書や図録類に載せられた文物のデジタル画像化を行ない、出土文物の画像ファイルを増やす予定であったが、前年度までに既にデータが十分揃っており、特に、新知見はなかった。 次に、デジタル化した画像資料を作成された時代、出土地点などを基準に整理した。本科研で収集したもの以外も含めて作成したデジタル化画像ファイル数は、後述のように、1万を超えた。出土地点で言えば、中心となる中国華北地区はもとより、華中・華南・東北の各地区、日本列島、朝鮮半島諸国、新疆地区、内外モンゴル、ウズベキスタンにおける3~8世紀の服飾資料を収集することができた。これによって、当該時期における服飾史を民族分布・民族移動・社会変動などとの関連から再構成することができた。
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