本研究課題は、19世紀後半の英領ビルマにおけるビルマ人下級官吏に焦点をあわせ、植民統治体制との関係性を考察することを目的とした。成果として、2点あげることができる。ひとつは、ミャンマー国立公文書館における史料調査を実施し、19世紀後半のビルマ人下級官吏の一件記録をはじめとする、研究の基礎資料を得たことである。ふたつは、文書の読解によって得た知見を、2014年8月に開催された国際ビルマ研究集会で報告したことである。そこでは、文書にみえる下級官吏たちが、植民地権力にたいしていつも従属的な存在だったわけではなく、自己利益を引き出す対象としても植民地体制をみなしていたのではないかという点を指摘した。
|