研究課題/領域番号 |
24520797
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
松尾 有里子 お茶の水女子大学, リーダーシップ養成教育研究センター, 講師(研究機関研究員) (50598589)
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キーワード | 東洋史 / イスラーム / 女性 |
研究概要 |
平成25年度は、平成24年度に行った二度の海外調査(8-9月トルコ、ボスニア/2月トルコ)の成果の一部をまず、平成25年5月の日本中東学会第29回大会と7月の東京外国語大学アジア・アフリカ研究所主催の『近世イスラーム国家と多元的社会』プロジェクトの研究会で発表した。平成24年度の研究課題の一つであった近世から近代への移行期のオスマン地方社会の実態と変容を司法の側面から論じた。その後、8月にトルコにて史料を調査と聞き取り調査を行う計画であったが、6月から続くイスタンブル新市街のデモが沈静化せず、その影響を受けてか閲覧申請をしていたイスタンブル大学図書館から研究許可が下りず、平成25年中の現地調査は叶わなかった。その間、国内にとどまり、「近代オスマン帝国における女子教育の導入」と「近代オスマン帝国と女子師範学校―教師養成校から見た新しい女性たちー」の論文を執筆した。これらは現在投稿中である。平成26年1月5日より10日間、新たに完成したイスタンブルの首相府オスマン文書館を中心に近代オスマン帝国の女子教育に関わる公教育省の文書類を調査した。これまでの調査では19世紀末を中心にした史料収集であったが、今回は対象年代を広げ共和国初期(1925年)までの青年期の女性の教育と社会活動に関するデータを集めた。さらに3月23日より10日間、イスタンブルで同じく首相府オスマン文書館で1月期の調査の補完を行うとともに、19世紀末期に発行された「女性」向け雑誌をアタテュルク図書館にて調査閲読した。これらの調査は、平成26年5月に開かれる日本中東学会の年次大会で「近代オスマン帝国における「女性」雑誌と出版文化」の題で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
夏の現地調査が受け入れ研究機関の都合で冬になってしまい、当初の計画と異なってしまったが、その間、論文執筆作業ができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度はまず、採用初年度から一貫して研究してきた1.近代オスマン帝国における女子教育の導入と定着の過程と2.女子師範学校の成立とその意義について、現在投稿中のものを含めて三本の論文にまとめる予定である。また平成24年度に敢行したボスニア調査の成果をまとめた研究ノートを一本夏期に発表する予定である。その後、昨年夏期に予定していた現地調査の未消化分を9月のトルコでの調査で行う計画である。首相府オスマン文書館とイスタンブル大学図書館での調査が中心となる。 秋以降に平成26年5月の日本中東学会で発表した「女性」雑誌と出版文化に関するテーマについて論文をまとめ、最終年度の研究の総括としたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
現地調査期間が短かっため、時間の節約をかねて資料の複写とCDなどへの焼き付けは個人の負担となってしまった。 なるべく現地調査での資料の複写や電子ファイル化に使用する予定である。
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