本研究は、近代オスマン帝国における女子教育の導入と定着の過程を整理し、オスマン帝国の近代化改革における女子教育の特徴を明らかとするとともに、トルコ近代史における女性の社会的進出の実情を考察することを目的とした。3年間を通じ計6回のトルコ共和国への史料調査を行い、当該分野の文書史料、女性専門新聞、雑誌類を収集し、女子教育の制度的変遷と女子師範学校を中心とした職業教育の実態を分析した。その結果、当初近代化政策の一環で開始された女子教育制度が、帝国全土に浸透するにつれ、女性の多様な社会活動形態を創出し、いわゆる下からの国民統合にも寄与していた実情を考察することができた。
|