本研究では,元代の中後期の両淮・両浙地域において漕運や塩の流通に関与した商人集団や官僚の動向を追うことにより,当時の社会経済の具体像の一端を解明することができた。元代の主要人物約11,000名に関する諸データを入力して「元人総合DB」を試作し,これに基づいて,両淮・両浙地域において塩政に携わっていた54名からなる官僚群を抽出し,彼らの動向に焦点を当て,その動態を分析した。その結果,同地における塩政の展開に,①1290~1300年代,②1330~40年代という二つの緩やかな画期が見られ,②の時期の江南地域において農商諸勢力の伸張が看取される点などを明らかにした。
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