研究課題/領域番号 |
24520810
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
阿部 幸信 中央大学, 文学部, 教授 (60346731)
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キーワード | 亀鈕(国際研究者交流、中国) / 漢印(国際研究者交流、中国) / 地域性(国際研究者交流、中国・台湾) / 南方文化(国際研究者交流、中国) |
研究概要 |
データベースの作成については、昨年度から継続して、各種美術書や図録に掲載されているデータを追加入力し、充実に努めた。 出張を伴う学会報告や各種調査については、年度の後半を中心に実施した。11月、「出土資料与戦国秦漢社会転型研究」国際学術研討会(中国社会科学院主催、於杭州)において研究成果を発表するとともに、復旦大学中古史読書班の諸氏と江蘇省各地で調査を実施し、徐州博物館・淮安市博物館・南京市博物館で漢代を中心とする亀鈕印を多数実見したほか、当地の主要な諸侯王墓をすべて訪れ、発掘中の大雲山漢墓にも入ることができた。12月には、上海博物館の葛亮・孔品屏両氏の協力で、当館所蔵の主要な戦国~魏晋の亀鈕印の詳細な調査(一部計測を含む)を実施した。3月には、「皇帝・単于・士人:中古中国与周辺世界」工作坊(南京大学高等研究院主催、於南京)で研究成果を報告し、南京博物院や南京市内・近郊において現地調査を実施した。また、訪中を重ねる過程で、上海博物館の孫慰祖研究員・湖南大学の陳松長教授・徐州博物館の呂健氏ら印章・封泥に造詣の深い諸氏と意見交換を行い、大いに知見を深めたほか、復旦大学の周振鶴教授・李暁傑教授(歴史地理学)や南京大学の張学鋒教授(考古学)から、本研究の発展方向について助言を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
8月に大型国際学会を主催したことや、身辺で不測の事態が発生したことなどから、年間を通じてコンスタントに研究を進めることはできなかったが、技術的にもっとも困難を伴う印章の実見調査は順調に進行しており、次年度以降の実施に関しても下準備が整い、最終年度までに計画以上の成果を挙げることができる見込みである。 データベースの作成・図録本の活用については、計画どおり順調に進行している。成果の公表については、予定より多くの口頭報告を実施することができたほか、現在待刊中の論考が1本あり、計画にほぼ沿う形で進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
データベースの充実・活用については、今後も粛々と進めてゆく。成果の公表についても、すでに多くの報告・執筆依頼を受けていることから、計画を上回るかたちで進めることができるものと考える。 印章の実見調査は故宮博物院・中国国家博物館(10月)・湖北省博物館(2月ないし3月)において、地域性把握のための現地調査は湖南省・広西チワン族自治区(2月ないし3月)において、それぞれ実施を予定している。昨年度課題となっていた山東省での調査についても、支援を得る目処はついた。ただし、湖南省博物館が2016年まで長期改修に入ってしまったことから、当館での調査は本研究課題の研究期間内に行えないことが確実となったため、研究の遂行に支障が生じないよう、公表されている画像・計測データを活用したり、現地の研究者と連携を深めるなどして、善後策を講ずる。 上記のほか、「漢晋時期国家与社会」国際学術研討会(中国社会科学院主催、於西寧、8月)・中国秦漢史学会年会(於成都、8月)・中国魏晋南北朝史学会年会(於北京、10月)・「重絵中古中国的時代格:知識、信仰与社会的交互視角」国際学術研討会(復旦大学歴史学系主催、於上海、11月)において、研究成果を報告する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年11月に上海で行った調査について、現地研究機関より経費の全額支給を受けられたたこと、ならびに、2014年2月に湖南省・広西チワン族自治区で実施予定であった現地調査について、年度をまたいだ延期を余儀なくされたことによる。 研究の進展により、故宮博物院において当初予定していなかった遺物の閲覧が必要になったため、一部をその経費に充当するほか、湖南省・広西チワン族自治区での現地調査については、今年度改めて実施する。
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