研究課題/領域番号 |
24520811
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
春田 晴郎 東海大学, 文学部, 教授 (90266354)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 西アジア / イラン |
研究概要 |
本研究全体の目的として、イラン・イスラーム共和国スーサ博物館に所蔵される新エラム王国時代の資料およびエリュマイス王国の資料を研究調査し、また現状ではまったく国際的に知られることのない日本に所蔵される新エラム時代の銘文付き資料にもついても研究し、発表することを挙げた。そして初年度である平成24年度は、まずスーサ博物館との関係を確立すること、平行して所蔵資料の実見等も行なうこと、エリュマイス王国の遺跡を現地で確認し、撮影等も行なこと、日本国内においては関係書籍の充実を図るとともに日本国内所蔵の新エラム語資料についてあらためて確認し調査すること、を計画として掲げた。 このような計画に沿って研究を行ない、以下のような成果を得た。まず、2012年12月にはイラン・イスラーム共和国に出張し、スーサ博物館を含む各所を訪問し実見調査を行なった。エリュマイス王国については、ペルシア語のごく簡単な短報以外にほとんど知られることのなかったゲラーラク遺跡を実見して現状を確認することができた。日本国内においては、5月にシュメール研究会において、伝キャルマーキャッラ出土銀製品の碑文について報告を行ない、これまで全く存在が知られなかった資料を紹介できた。研究を始める前提ともなるアラム語アラム文字資料について、国内の資料を改めて再検討し、銀のリュトン1点の銘文をあらたに解釈することができ発表した。また、また、古代西アジア文字資料集をまとめる作業にも参画し、成果を発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まずスーサ博物館との関係確立については、申請時イラン国立博物館の館長であったアクバルザーデ氏が退官されたことで、当初予定した程度までの関係は構築途上であるが、スーサ博物館ほかに2012年12月に訪問し、実見調査などを行なうことはできた。さらにエリュマイス王国の遺跡については、ペルシア語のごく簡単な短報以外にほとんど知られることのなかったゲラーラク遺跡を実見調査することができた。いくらかの想定外もあったが、ほぼ順調にできている。 日本国内において関係書籍の充実を図り、日本国内所蔵の新エラム語資料について調査する、という計画については、5月にシュメール研究会において、伝キャルマーキャッラ出土銀製品の碑文について報告を行ない、これまで全く存在が知られなかった資料を紹介できた。その他の研究成果と合わせて、こちらもおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の調査研究を継続する。すなわち、スーサ博物館所蔵資料の実見、撮影、計測等も行なう。また、日本国内で作業できないその他諸作業、をイランにおいて行なう。エリュマイス王国の遺跡、とくに磨崖浮彫が現地で残るイーゼ平野などで資料を現地で確認し、撮影等も行なう。海外とくにイランにおける研究者と連絡を保ち協力関係を築く(これは平成26年度も同様)。 日本国内においては、スーサ博物館所蔵資料の解釈解読等研究を進めていく。関係書籍の充実を図ることも継続する。日本国内所蔵の新エラム語資料についても、MIHO MUSEUM、古代オリエント博物館、平山郁夫シルクロード美術館などとで、以上のような調査を行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
書籍分で年度内に発注完了できなかったものなどの結果、14万円ほどの次年度使用額が生じた。これらは一部、関連書籍購入(消耗品費)にあてるが、一部は外国旅費に充当する予定である。研究対象地であるスーサを含むイラン南西部フーゼスターン州は夏は酷暑で野外での調査活動はほぼ不可能であるが、今夏期には同じイラン南部でも高原地帯で比較的気温の低いファールス地方(エラム文化のもう一つの中心でもあった)で実見調査を行ない、冬期あるいは春期にスーサやその近傍で調査する、と海外出張を平成25年度は2回行なう予定で、これによって次年度使用額を消化するつもりである。
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