研究課題/領域番号 |
24520816
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
大内 文雄 大谷大学, 文学部, 教授 (50103114)
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研究分担者 |
松浦 典弘 大谷大学, 文学部, 准教授 (80319813)
藤井 政彦 大谷大学, 文学部, 研究員 (10514333)
戸次 顕彰 大谷大学, 文学部, 非常勤講師 (50549540)
今西 智久 大谷大学, 文学部, 助教 (60635374)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中国仏教史 / 東洋史 / 仏教学 / 戒律 / 経典目録 / 護法 / 僧伝 / 唐代 |
研究概要 |
本研究は広範囲にわたる道宣の著作を「第1群:戒律に関わる著作群」「第2群:経典目録」「第3群:史伝関係の著作」「第4群:護法・三教論争に関係する著作群」の4種に分類し、それぞれに担当者を配当して総序や篇序を解読し、現代語訳を含むその成果を共同研究の場に附し、原稿に対する数次の検討を経て、平成24年度内に成稿を得たものを研究成果として『大谷大学真宗総合研究所研究紀要』第30号(2013年3月)において公表した。 第1群では『四分律含注戒本疏』序・『四分律刪補随機羯磨疏』序・『四分律比丘尼鈔』序・『釈門章服儀』序が担当され、その中で『釈門章服儀』を除く三点が掲載された。同様に第2群では『大唐内典録』序、第3群では『律相感通伝』序、第4群では『広弘明集』総序ならびに弁惑篇序、『集古今仏道論衡』序が担当され、それぞれ成稿を得て掲載に至った。 本研究の意義は、以上のように道宣がそれぞれの著作に自ら付した序文を訳注し、さらにそれぞれの序文の共通点や連関関係を探ることを通して、道宣の考え、あるいは立場の一端を理解することである。共同研究の場で議論されたその一端を示せば、例えば複数の著作の序に用いられる「行事」「直筆」「実録」などの語は、道宣の著述における具体的実践的な姿勢を表明しているものであると言える。また『大唐内典録』序の「嘉運」の語は、今を仏教史上の嘉運と捉える歴史観が表明されているものである。このように著述活動全体に共通する道宣の考えが具体的に捉えられてきたことは平成24年度の大きな成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
道宣の著作は多岐にわたり、平成24年度に成稿を得た著作序文は、全体から見れば一部のものではあるが、研究代表者や分担者・協力者がそれぞれ1つ乃至2つの著作の序文の現代語訳を成しており、おおむね順調に進展していると言える。今回成し遂げた現代語訳化の手法を序文全体に及ぼせば、さらに研究の進展が見込めるであろうし、その成果は学界に裨益するものとなるであろう。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、現時点で成し終えていない序文及び篇序の解読作業を各担当者が分担して行い、それらを共同研究の場に附し、数次の検討を経て訳注を完成させることが必要となる。 具体的には「第1群:戒律に関する著作」では24年度に未完であった『釈門章服儀』の成稿を得ること、新たに『四分律刪繁補闕行事鈔』序の訳注に着手することが課題となる。「第2群:経典目録」では『大唐内典録』総序が完了したので、引き続いて各篇の序の訳注に着手することが課題となる。「第3群:史伝関係の著作」では、新たに『釈迦氏譜』『釈迦方誌』の序の訳注に着手し、同時に本研究代表者が大谷大学大学院の授業の中ですでに読解を進めている『続高僧伝』の序及び篇序の成稿などが課題となる。「第4群:護法・三教論争に関係する著作群」では『広弘明集』の総序・弁惑篇序を除く他篇序の訳注に着手することが主な課題となる。 以上の作業を進めていくことによって、さらに道宣の各著作の撰述意識や著述活動の実態、あるいは著作間の連関関係を解明し、道宣の思想と生涯の全貌に迫りたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費使用計画は以下のとおりである。 ・研究代表者・研究分担者が当該研究課題を推進していく上で必要となる書籍、特に中世中国仏教史関係図書の購入。 ・共同研究の場での討議や、成果公表に向けた印刷・製本代。 ・本研究班の研究代表者および研究分担者は、それぞれ東洋史学・仏教史学・仏教学を専門としており、本研究の成果の一部を学会その他においてその都度発表するため、あるいは他の研究成果に学ぶための研究交流として、各種学会や研究会に参加するための旅費。 ・道宣の著述活動の舞台となった故地・遺跡の調査・研究旅費。 ・外部講師を招聘した公開講演会の開催。
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