研究課題/領域番号 |
24520821
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 文彦 北海道大学, 文学研究科, 教授 (30222384)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神聖ローマ帝国 / 永久帝国議会 |
研究概要 |
平成24年度においては、基本史料となるマイクロフィッシュで保存されている「永久帝国議会・皇帝主席委員文書」の一部をデジタルデータ化する作業を行い、利用できる環境を整備した。史料がデータ化されたことにより、研究計画に従って、儀礼の内容・儀礼に関して発生した問題・その解決策の3点について該当史料の整理に取り組んだ。この作業に当たっては、永久帝国議会の開催都市であるレーゲンスブルクで17世紀後半において行われた祝祭等の儀式の開催状況を検証する作業を並行して進めた。都市の規模で挙行された祝祭と永久帝国議会の儀式等の関係にも留意しながら、史料の整理を進めた。 またこの永久帝国議会が成立するにいたった歴史的背景を理解するために、1648年のヴェストファーレン条約の一つであるオスナブリュック条約の歴史的意義を検討する論文の執筆を行い、年度末に論文として発表した。これにより17世紀後半以降の神聖ローマ帝国において、帝国議会が非常に重要な機関であり、帝国国制及び政治の分析においては、この永続化した帝国議会(永久帝国議会)の分析が非常に重要であることが判明した。 これらの作業と並行して、18世紀の儀式・儀礼の基本書として利用されていた書籍の内容の整理が終了し、この当時の貴族が行っていた儀式等の概要を把握することができた。ここから得られた儀式等の内容と永久帝国議会でみられた儀式等を比較検討し、その意味を検討する作業に入った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に実施を予定していたウィーンの図書館等での史料調査及び収集は行うことができなかったが、それ以外のすでに手元にある史料のデジタルデータ化作業は順調に進んでいる。 永久帝国議会開催都市のレーゲンスブルクの祝祭等の状況の把握も予定通り進み、また当初の計画には入れていなかった、1648年のヴェストファーレン条約の歴史的意義に関する論文を発表することができ、本研究課題の考察の対象としている永久帝国議会の歴史的位置づけを明確に示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に実施できなかったウィーンでの史料調査及び収集および本年度実施予定のミュンヘン・ベルリン・デュッセルドルフでの史料調査及び収集を行い、儀式関連のさまざまな史料の整理を行う。 平成24年度に行ったすでに手元にあるマイクロフィッシュによって保存されている資料のデジタルデータ化作業を引き続き実施し、永久帝国議会の儀式等の情報の整理に当たる。 当初の計画通り、儀式の内容の確認後、儀式が執り行われた空間情報を確認するために、建築様式あるいは儀式の情報の伝達方法等を検証する作業を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に実施できずに繰り越している研究費を使用して、ウィーンでの史料調査及び収集を行うとともに、当初予定していたドイツでの3都市での史料調査及び収集をおこなう。 またマイクロフィッシュ版の史料のデジタルデータ化作業を進めるとともに、関係図書の購入を行う。
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