本課題は、フランス第二帝制期(1852-1870)における政治エリートに求められた社会経済的属性を明らかにするべく、プロソポグラフィ分析から得られた知見をデータとして分析する「応用プロソポグラフィ分析」アプローチを採用し、フランス西部の25県(通称「広域西部地方」)における立法院議員選挙官選候補の選考プロセスを分析した。その結果、エリートが持つべきとみなされた属性について「地主から商工業者へ」というトレンドを見出した。このトレンドは、19世紀フランス史研究における通説たる名望家(ダニエル・アレヴィ)論に対して再検討を迫るものであり、また第二帝制の「進歩的な」性格の強調につながるものである。
|