本研究は白人性研究の分析視角のもとに、南北戦争・再建期のアメリカ合衆国で制定された人種関連立法を白人自らが白人性の解体を図った「白人立法」ととらえ、その立法意図を解明することにより、南北戦争・再建期像の再構築を試みたものである。 具体的には軍務・労働・市民権に関する諸立法の制定過程を分析することにより、これらの立法には自由労働思想のもとに人種にかかわらない新たなアメリカ国民を創造しようとする北部白人の意図が込められていたことが明らかになった。ただし、その彼らは国家の再統一を達成するには州主権を尊重する必要性を感じていたために、連邦による白人性の解体が不完全に終わったことも明らかになった。
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