研究課題/領域番号 |
24520826
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高山 博 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (90226936)
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キーワード | 中世 / ヨーロッパ / ノルマン / シチリア / 農民 / 羊皮紙 / イスラム / 地中海 |
研究概要 |
平成25年度は、平成24年度からの作業を継続し、イタリアとスペインの古文書館に保管されているアラビア語、ギリシャ語、ラテン語羊皮紙手書き文書の写真の蒐集を行い、入手できた文書の検討を行った。その結果、現在通説となりつつあるJ. JohnsとA. Metcalfeの見解が誤りであると結論付けるに至った。彼らは、アラビア語史料のhurshとmulsを、ムスリム農民の2つの階層を示す言葉と理解し、それぞれにthe rough men とthe smooth menという対立的な英語訳を当てたが、mulsはそのような農民層を指すのではなく、前の住民リストに記入されていない者を意味していることが明らかとなった。また、彼らがhurshを別の農民層を指す言葉と考える史料的根拠も薄弱であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまで入手できた史料の検討から、期待どおりの結果が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には、資料の蒐集・文書の検討を続けると同時に、研究成果をまとめ、口頭報告・論文として公開する予定である。4月にはアメリカ中世学会年次大会で研究成果の一部の報告を行い(実施済)、さらに日本語と英語の論文を執筆する。
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次年度の研究費の使用計画 |
米国渡航(2014年4月9日~14日)のための航空券代金(2013年11月28日に本人のクレジットカードで支払済)の支出が次年度扱いとなり、注文済の書籍の到着が次年度となったため。 旅費、書籍代。
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