カイロネイアの戦いは、アテナイとギリシア諸ポリスの衰退を象徴する政治史上の転換点ととらえられてきた。本研究は、この間の政治文化の連続性と変容をとらえようとするものである。とりわけカイロネイア後のアテナイにおいて財政面でリーダーシップを発揮した政治家リュクルゴスの政策が、伝統的互酬的社会秩序のうえにたってアテナイ市民共同体を再生しようとしていたことが示された。また、研究分担者・協力者とともにおこなった共同研究の成果として、2016年3月には国際ワークショップLycurgus in Transitionを開催し、経済、文化、歴史叙述、政治など多角的に、リュクルゴス時代の再検討をおこなった。
|