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2012 年度 実施状況報告書

『健康全書タクイヌム・サニターティス』をめぐる多角的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520832
研究種目

基盤研究(C)

研究機関奈良女子大学

研究代表者

山辺 規子  奈良女子大学, 研究院人文科学系, 教授 (00174772)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードイタリア / ボローニャ
研究概要

本科研研究開始時に現在入手可能な『健康全書Tacuinum Sanitatis 』のうち未収集の写本、刊本を全て確認、収集し、そこにもられている情報のデータベース化を図る計画をたてたが、このうちインターネットで確認できるものはまずその画像とデータを収集した。Lugano 15(ガストロノミ図書館所蔵)の写本と関連研究書、ベルガモのGiovannino dei Grassiの写本と関連研究書、フィレンツェのラウレンツィアーナ図書館、国立フィレンツェ図書館所蔵の簡単な装飾のみの『健康全書Tacuinum Sanitatis 』写本は、現地で現物を確認した。また、関係が深いと考えられる装飾写本と関連研究書、特に地中海世界における料理本で未収集のものを購入した。
データの整理についてはまだ継続中である。これは、史料の収集が遅れたことに加えて、使用を予定していたスキャナーがきわめて読み込み速度が遅く、年度途中新規に発売された機器の使用を考えたためであるが、なおスキャナーの読み込み速度は不十分である。このほか、図版関連の研究を進めるために、写本撮影用のデジタルカメラ、モバイルPC, データ保存のサーバー、情報交換のためのタブレットと関連機器を購入した。
8月には大分で国内の関連分野の研究者との意見交換の研究会を開催し、特にフィレンツェの宮廷文化、経済史的位置づけ、文化交流の面からアドバイスを得た。ボローニャ大学文学部のM. G. Muzzarelli教授とは、9月にボローニャにおいて、12月に日本において研究上の打ち合わせをおこない、共同研究セミナーの検討を継続することとした。
当初計画にはなかったが、3月には食の文化フォーラム関係者によるインド視察旅行に参加し,中世の食と医学の関連で注目される香辛料の原産地における扱いに関する知見を得たことは今後の研究の広がりに有益であると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

『健康全書 Tacuinum Sanitaitis』の写本には、中世のラテン語のみの写本にかぎっても、①文字のみのシンプルな写本、②簡単な装飾がなされている写本、③大判で豪華な図版の完成版がついている写本、④未完成の図版がついている写本、⑤他の内容のものと合本になっている写本、⑥庶民向きに単純で小さい図が付けられているものがある。特に図版がついているものについては、その図版作成の工房の情報を得るために同時期作成の類書を確認することが求められる。
このうち、今年度は、制作工房作成関連の写本、特徴的な写本をつなぐ役割を果たしていると思われる簡単な装飾がなされている写本と庶民向きの写本を入手する予定で、調査旅行でうち5つを確認し、インターネットでの公開図版も確認した。そのうえで特に庶民向きの写本について数回にわたって写本のjpgファイル送付を依頼したが、まだ送られてきておらず、予備作業に入れなかった。手元にあるものについても、スキャンが期待した速度でできなかったことは研究の遅れを招いた。また、他の科研共同研究のための作業が入り、その点でも予定していたほど十分な時間をとることができなかった。
他方、イスラム医学の成果をもとにしている『健康全書Tacuinum Sanitatis 』のの項目の中には、インド医学の影響を受けた香辛料の効能に関わる項目があるが、この香辛料の使用の理解に役立つインド農村・バザール視察旅行の参加できたことは有益であった。また、ボローニャ大学、国立ボローニャ文書館では、中世における健康論を専門として研究している若手研究者と交流する機会が得るなど、予定外に有益な成果もあり、全体としてはやや遅れているという評価にした。

今後の研究の推進方策

まず、遅れている『健康全書Tacuinum Sanitatis』の未入手の写本の取得に努力するとともに、少なくとも画質は劣るがWEB公開されている画像を用いたデータベース化を推進する。
ボローニャにおいては、ボローニャ大学の食文化の泰斗であるM.Montanari教授、長年『健康全書』をはじめとする中世後期の図版について意見交換をしてきたM. G. Muzzarelli教授との協力体制を整え、国立ボローニャ文書館、ボローニャ大学所蔵の料理関係写本の利用を図り、シンポジウム、ワークショップについて検討を続ける。
日本では、経済史の立場で食物の利用について研究がある大分大学城戸照子教授、広く中世後期のイタリア生活文化に関心を寄せている富山大学徳橋曜教授、イタリア美術史の上智大学児島由枝准教授及び若手の研究者との研究打ち合わせを通じて、最新の研究動向を確認するとともに、日本における研究公開のありかたについて検討を進める。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 1530年ボローニャにおける皇帝カール5世の戴冠式

    • 著者名/発表者名
      山辺規子
    • 学会等名
      2012年度京都大学西洋史読書会大会
    • 発表場所
      京都大学時計台ホール
  • [図書] 15のテーマで学ぶ中世ヨーロッパ史2012

    • 著者名/発表者名
      山辺規子他
    • 総ページ数
      総ページ362ページ  分担執筆230-253ページ
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
  • [備考] Benvenuto a NYamabe

    • URL

      http://nyamabe.fem.jp/

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公開日: 2014-07-24  

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