研究実績の概要 |
平成26年度は、未刊行史料の入手(ローマのBAV、Bib.Angelica所蔵写本の画像)と現地での確認(ヴェネツィアのMarciana図書館所蔵写本とピサのS.Catherina文書館写本)を行い、写本データをもとにボローニャ大学のM.Montanari教授、M.G.Muzzarelli教授との意見交換、ボローニャ文書館の史料閲覧、ペーザロのVilla Imperiale見学をした。 その上で、これまで入手、確認した写本(Lugano 15/Laur.18.sin.7/Liege1041/BL Add 18701, BSloane3097/Giovannino dei Grassiの素描集)収集した写本(BnF Italien1108/ Latin6908, Latin15362/NYPL Spencer Collection65/Cod.Vind.5264/Bib.Ambrosiana, P.161.Sup.)と、ドイツ語版とラテン語版の刊本を比較対照し、掲載項目を対照した。他の写本とは異なる性格を持つフェッラーラ写本群(Lugano15,/BnF It.1108/ Cod.Vind.5264,/NY Sp.Col.65)の詳細な比較対照は今後の課題であるが、図版がつけられたことが項目設定にも変化を与えたことを明らかにした。これまでの研究を踏まえて、12月6日「『健康全書タクイヌム・サニターティス』をめぐって」(於奈良女子大学)のシンポジウムを開催した。シンポジウムでは、富山大学発達科学部徳橋曜教授、大分大学経済学部城戸照子教授、上智大学文学部児嶋由枝准教授が発表をしたほか、収集したタクイヌム及び関連する図版の写本を閲覧に供した。 年度途中に歴史学研究会の特集「救済」に関する論考の依頼をうけ、西洋中世の人々の日々の救済について論じた(刊行は平成27年6月の予定)。
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