初期コミンテルンの一在外ビューロー,パンアメリカン・エイジェンシーに関して基礎的研究に続いて,①アメリカ・メキシコに次ぐ,残されたカナダ・南米の活動実態の解明,②活動の全貌解明と問題点の摘出を果たすことによって総合的研究をめざした。 エイジェンシーはコミンテルン本部によって政治的にも財政的にも生殺与奪権を握られ,加えて内部対立と当該地に固有の問題点もあり,自立的な運動の発展に貢献する可能性は低かったとまとめられた。ただしカナダの場合,隣接するアメリカ共産主義両党各支部の貢献等の好条件と現地の自助努力もあり,共産党及び労働者党を創設する上でエイジェンシーは決定的な役割を果たした。
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