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2015 年度 実施状況報告書

十八世紀末ウィーンにおけるメディアとしての銅版画

研究課題

研究課題/領域番号 24520835
研究機関神戸市外国語大学

研究代表者

山之内 克子  神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (70267441)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワード印刷物 / メディア / 銅版画 / 画像史料 / 識字文化
研究実績の概要

実質的に3年次にあたる本年の活動は、一年間休止していた研究をふたたび軌道に乗せるために、まず、これまでの研究成果の総括および発信と、中断していた現地調査の再開という二つの目的にフォーカスして行った。
まず、成果発信に関しては、大内宏一編『ヨーロッパ史の中の思想』(彩流社、2016年)に論文「ヒエロニムス・レッシェンコールの銅版画―18 世紀ウィーンにおける『非活字印刷物』の位置価値」を寄稿し、ドイツ語圏の思想と文化を概観する論文集のなかで、あらためて18世紀における印刷文化、あるいはさらに広義での消費文化の位置づけをさぐることを試みた。この論文は、本研究テーマの基幹となる問題提起を提示しながら、これまでのレッシェンコールに関する調査・分析の結果をまとめたものであり、研究年度の中間に当たる年度に相応しい発信ができた。また、論文出版に際しては、当初の予定通り、画像の著作権に配慮し、すべての図版について所蔵先の指示に従って使用権料を負担した。
また、現地調査では、これまでのアルベルティーナ、ウィーン博物館に加え、ウィーン大学のハンネス・シュテクル教授の助言・紹介を得て、美術アカデミーの銅版画コレクションをも調査対象とすることができた。また、かねてから調査を希望していたドイツ、ノイルピーンの膨大なビルダーボーゲン・コレクションについても、ようやく調査許可を得て作品を閲覧することができた。ノイルピーンのコレクション、さらに、ベルリンのヨーロッパ文化博物館の通俗的版画コレクションは収蔵数がきわめて膨大で、限られた時間のなかでは希望するすべての作品を閲覧することはできなかったが、今回の出張では、今後の調査につながる重要な基礎情報と人的ネットワークを得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

とりわけ年度末に行った4週間の現地調査において、予想を上回る成果が得られた。ドイツ、ノイルピーンのビルダーボーゲン・コレクションについては、かねてからアクセスを希望していたが、本年度、ノイルピーン市立博物館の改修完了によってようやく調査が可能になった。このノイルピーンおよびベルリン・ヨーロッパ文化博物館では、ウィーンにおいてレッシェンコールと同時代に活動していた図画出版業者のデータも入手でき、これらをフィードバックする形で、ウィーン博物館等、オーストリアの調査機関において新たなリサーチを開始している。レッシェンコールを同時代の業者と比較対象する可能性は、これまで調査を進める中で、史料や作品の残存の可能性からみてほとんど絶望的と思われたが、調査対象を広げることで、予想外の貴重な情報に到達することができた。また、ノイルピーンの膨大なコレクションは、ドイツ語圏全域との比較の視野をも開くことになった。

今後の研究の推進方策

研究の発信作業はこれまでやや遅れをとっていたので、次年度以降は口頭発表も含め、積極的に発表の可能性を探りたい。またその際には今後も、図像史料の使用権に十分配慮していきたい。
また、今年度はとりわけ、ドイツ、オーストリアにおいて、今後の研究調査につながる新しい基礎情報とネットワークが多く得られた。今後、これらを十分に生かすかたちで、さらなる史料調査を進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

昨年度、病気のため一年間研究活動を休止していた。研究資金を適正かつ有益に使用するため、予算を先送りしている関係で、次年度使用額が生じている。

次年度使用額の使用計画

当初の研究計画時より、銅版画を中心とする現地での史料調査、画像のデータベース化が本研究の主要部分を占めることになっていた。研究活動を凍結していた26年度には、この作業が実質的に行えなかったため、全体としては一年分の遅れが生じている。これを適正に解消するため、延長申請によって研究期間を延長し、計画通りの成果を達成したいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 図書 (1件)

  • [図書] ヨーロッパ史のなかの思想2016

    • 著者名/発表者名
      大内宏一(編)
    • 総ページ数
      364
    • 出版者
      彩流社

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公開日: 2017-01-06  

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