研究課題/領域番号 |
24520837
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
松戸 清裕 北海学園大学, 法学部, 教授 (10295884)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ソ連 / フルシチョフ / 協働 |
研究実績の概要 |
研究活動:平成26年9月に約4週間モスクワへ出張し、本研究課題全体に関する史料を収集した。具体的には、ロシア連邦国立文書館においてロシア共和国最高会議幹部会フォンドの史料を集中的に読んでノートを取った一方で、ロシア国立図書館において本研究課題の関連文献に幅広く目を通し、ノートを取った。こうして収集した史料・資料を精読して当時の政策や社会状況に関する考察を進めると同時に、今年度の研究課題として設定した、生活水準向上のための国家と社会の「協働」の方策についての論文に取り組んだ。
研究実績:上記のモスクワ出張を含め本研究課題のためにこの3年間におこなったモスクワでの史料収集で得た史料を中心的に用いて、1956年の第20回ソ連共産党大会前後の時期の政権にとっての課題とその課題への取り組みについて再検討する論文を執筆した。この大会についてはフルシチョフのいわゆる秘密報告によるスターリン批判が注目されるが、スターリン批判とスターリン主義の克服は当時政権にとってもちろん重大な政治課題だったけれども、それに劣らず国力と国民の生活水準の向上が急務であり、そのために政権は人々の幅広い協力を求めていた様子について論じた。ただし同論文を収録予定の論文集の編集作業が遅れており、まだ刊行されていない。 本研究課題の申請時には、研究成果は年度ごとに設定した研究課題について個別に論文として発表することを予定していたが、本研究課題を中心的なテーマに含む著書を執筆する機会を与えられたため、その原稿の執筆に取り組んだ。ただし大きなテーマであるため執筆作業は難航し、今年度中に書き上げることはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の欄に記したように、今年度は論文と著書の執筆に取り組み、論文については書き上げたものの、いずれも出版には至らなかった。この点で今年度の研究課題を達成することはできなかったと認めざるを得ない。 しかし、研究がまったく進んでいないわけではない。上述のように今年度に設定した研究課題に関わる論文は執筆を終えており、今後論文集の編集作業の過程で修正を要するとしても平成27年度中には刊行されると期待している。また、本研究課題の当初の計画では予定していなかった(しかし本研究課題を中心的なテーマに含む)上記の著書についても平成27年秋の脱稿を目指すことで編集者と合意しており、難航が予想されるとはいえ早ければ平成27年度中に刊行することもできるのではないかと期待している。 このため、研究進捗状況の遅れはわずかであり、平成27年度には挽回できると予想している。
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今後の研究の推進方策 |
基金化によって前倒しで助成金を使用することができるようになった利点を生かして、平成26年度までの3年間に可能な機会をすべて利用してモスクワでの資料調査に取り組むことができた。本年度はこうして蓄積した史料に基づいて上述の著書の執筆に取り組む予定である。本研究課題全体が同書の中心的なテーマとなっているので、同書の刊行は本研究課題の遂行そのものであり、本研究課題の最終年度である今年度中に刊行することを目指す。
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