フランス革命中に行われた教会の聖具類の国有化と再利用を手がかりに、フランスの各県文書館に収蔵されている未利用の手稿史料を活用し、フランス社会で生じた神聖性と公共性の変容を明らかにすることを主たる目的とした研究計画であった。しかし、転職や体調等の理由による研究計画の遅延に加えて、フランス本国での過激派によるテロ多発の結果、実地調査のスムーズな実施が困難となった。結果的に、計画された調査を実施することはできたものの、議論の柱となる史料を見出せなかったこともあって、発表できた研究業績は派生的なものに留まった。具体的には、単著『図説ナポレオン』(河出書房新社)と論文「礼拝の自由を護るのは誰か」である。
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