研究課題/領域番号 |
24520841
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
砂山 充子 専修大学, 経済学部, 教授 (00307125)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スペイン内戦 / 亡命者 / 強制収容所 |
研究概要 |
研究開始にあたり、まずこれまでに蒐集した文献、史料の再読及び整理をし、どのような方向で研究をすすめていくかについての方針を検討した。スペイン内戦後にフランスに亡命した女性亡命者の全体像の把握は、亡命後、帰国した人々もいれば、第三国に亡命した人々もいるので、思った以上に困難な事が判明した。 今年度は海外の図書館、文書館等で資史料の蒐集をすると同時に、亡命スペイン人女性が収容されていたラーフェンスブリュック収容所についての研究書、回想録等を読解し分析を進めた。ラーフェンスブリュク収容所についてはバルセロナにある抑留者協会とコンタクトを取り、最新の研究成果についての情報を得つつ、現在、論文を執筆中である。 スペインでは国立図書館やバスク地方の文書館などで最新の雑誌論文や研究書など最新の研究成果を入手した。ロンドンではブリティッシュライブラリーで亡命についての英語文献やオーディオアーカイブを調査した他、9月に開催された現代イベリア研究会研究集会に参加し、いくつかの報告を聞くと同時に研究者と意見交換をした。アムステルダム国際社会史研究所では、亡命先のアナーキズム女性組織ムヘレス・リブレスの中心人物のサラ・ベレンゲールの書簡を調査した。ニューヨークではホロコースト記念館創設20周年記念集会(2013年3月)に参加し、ホロコーストの生残りたちの声を聞くとともに、彼らの声を映像記録として残していく試みや、ホロコーストの犠牲者のデータベース作製の取り組みについて実際に作業に当たっている研究者から知見を得る事が出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、出版予定であったラーフェンスブリュックのスペイン人収容者についての論文に関して、最終段階で新たな研究が出たことが判明し、その成果を取り寄せ、これまでの研究と擦り合わせをするののに時間がかかり、2012年度中に成果を発表できなかった。 また、調査予定であった文書館のうち、今年度はバルセロナ大学付属共和国パビリオン図書館、スペイン共産党文書館での調査が出来なかったため、女性組織についての考察があまり進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、現在執筆中のラーフェンスブリュックへの女性亡命者についての2本の論文を完成させる。可能であれば、収容されていた女性および周囲の人々への聞き取りを行なう。他の収容所に収容されていた女性たちについても、若干の考察を行い、スペイン人女性亡命者をホロコースト犠牲者の中に位置づけてみる。 亡命先での女性組織ムヘレス・リブレス及びスペイン女性連合の活動について調査をしていく。同時にフランスに亡命した女性たちの回想録、評伝などを読解し、個人史からも検討してみる。バルセロナで文献調査をすると同時に、ジョンケーラにある亡命博物館を訪問し、亡命者の経験を追体験してみる。
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次年度の研究費の使用計画 |
ラーフェェンスブリュック強制収容所に収容されていた生き残り女性、および周囲の人々へのインタビュー実施、女性組織の活動について調査のための海外での文書館調査を行なうための、旅費を支出する。 また、各地で史料入手のための、文献費、複写代等を計上する。
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