研究課題/領域番号 |
24520841
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
砂山 充子 専修大学, 経済学部, 教授 (00307125)
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キーワード | スペイン内戦 / 強制収容所 / 亡命 |
研究概要 |
研究開始当初から取り組んだきたテーマの一つであるスペイン内戦後、フランスに亡命しレジスタンスに参加したため、ナチドイツの強制収容所に収容されたスペイン人女性についての論考をまとめることが出来た。1本はスペイン人女性が収容されていたラーフェンブスリュック収容所についての概要と、そこに収容されていたスペイン人女性についての再考、もう1本はラーフェンスブリュックに収容されていたスペイン人女性ネウス・カタラーと、フランス人のジェルメーヌ・ティヨンがどのように自らの体験を語り継いできたかについて、比較検討した。 海外での調査として、スペインでは、スペイン共産党の女性亡命者関係の文書についての講演会に出席、国立図書館での資料調査、マドリード・コンプルテンセ大学でスペイン内戦終結75周年記念で開催されたPosguerras:75 Aniversario de la Guerra Civil espanolaの研究集会に参加し、亡命した知識人、芸術家などについてのラテンアメリカ諸国での活動についての興味深い報告を聞く事が出来た。イギリスでは大英図書館での調査、及びシェフィールド大学主催のスペイン内戦終結75周年の研究集会に参加し、イギリス、スペインの研究者たちと意見交換を行なうと共に、最新の研究動向についての情報を得た。また、ポーランドのアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所も訪問し、強制収容所がどんなものだったのを実際に自分の目で確かめることが出来た。 今年度まとめた論考に関連して、スペイン人女性だけではない多くの元収容者の回想録に接し、収容所の経験をどう語って行くかという点についても興味を抱いたので、今後は内戦後の女性組織の活動の研究と並行して、もう少しこの点について考察を進めて行きたいとも考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究を進めていく過程で、違った角度からの考察の必要性を感じ、その点について調査、研究を進めたため。具体的には強制収容所に収容されていたスペイン人女性たちの考察をするにあたって、他国の女性たちが残した回想録等も読み進めて分析をした。そのため、今年度予定していた女性組織についての研究があまりはかどらなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ラーフェンスブリュック強制収容所に収容されていたスペイン人女性について、もう少し考察を深めたいと考えている。唯一の生き残りであるネウス・カタラー氏やその他、元収容者の家族等とコンタクトを取り、その後の生活について聞き取りをしていきたい。 女性組織の活動についての研究は遅れているが、資料文献等の蒐集は進めているので、上記のテーマと並行して考察を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末から海外調査を行なったためと、予定していたカタルーニャの文書館での長期調査を次年度以降に延期したため。 ジョンケーラにある亡命博物館を訪れるとともに、スペイン、オランダ、イギリスで資料調査を行なう。スペインではラーフェンスブリュック抑留者協会での聞き取り調査を実施、バルセロナ大学付属共和国館図書館では女性組織についての資料調査をする。
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