本研究の目的は、伝統的なフランス社会における「奇習」、すなわち頭蓋変形(トゥールーズ型頭蓋)慣行の起源・実態・意味を調べることにある。研究代表者はまず初年度にパリの国立自然史博物館の人類学資料室に所蔵されている変形頭蓋約20点を撮影するとともに、その特徴などをフィリップ・メヌシエ博士らの協力を得て調査した。翌年度はパリの国立図書館や古文書館で関連資料を収集し、平成26年度はマルセイユの地中海文明博物館で変形頭蓋の実例数点を調べ、同時にこの変形頭蓋研究に巨歩を印したパリ人類学会の形質人類学者ポール・ブロカなどの論文を入手し、民俗文化のなかでこの慣行がどのように位置づけられるかを研究した。
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